木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

法吉(ほっき)という名前

 出雲地方には『出雲国風土記』があるので、今から1,200年も前の奈良時代に使われたの地名が現代まで続いていることが分かる場所が、あちこちにあります。松江市法吉(ほっき)町もそのひとつ。ただし、法吉は、「ほっき」ではなく「ほほき」ですが・・・。松江城の北の方、松江市法吉町は、現在では、住宅団地もできて賑やかな所ですが、その一角に法吉神社があります。
法吉神社

 『出雲国風土記』によれば、「神魂(カミムスビ)命の御子、宇武加比売(ウムカヒメ)命、法吉鳥(ホホキドリ)と化して飛び渡り・・・」なので法吉と言うのだとか。
 法吉鳥とはウグイスのことです。で、現在の法吉町にはウグイス台団地があります。ウグイス台団地の一番奥には、「伝宇牟加比売命御陵(でんうむかひめごりょう)古墳」があって、ウグイスになって飛んできたウムカヒメの伝説にちなんだ名前のつけられた古墳があったりします。
伝宇牟加比売御陵古墳

 『出雲国風土記』に記された地名説話の町に、その伝説にちなんだ古墳があって、さらに住宅団地にまで伝説にちなんだ名前が付けられてるんですね。
 ちなみに。神社は時々移動しますので、現在の法吉神社の場所が、『出雲国風土記』の時代から続く法吉神社ではないのですが・・・。伝宇牟加比売命御陵古墳の裏には、法吉神社の旧社地が残されていて、現在でも小さな祠と手水鉢があります。
法吉神社の旧社地

お松:ウグイス台は・・・。そこに住んでいらっしゃる方々は、ウグイス台と言う名前の由来の奥深さをご存じなのでしょうか?
やや:おそらく、ほとんど知られていないと思いますよ。しかもそれだけじゃなくって、法吉の地名には、もう一つ、秘密が隠されているようです(←お松:なんですか?)。それは、ウグイスになって飛んできたウムカヒメ・・・。

 ウムカヒメは『出雲国風土記』のほか、『古事記』にも出てくる神様です。
 イナバノシロウサギを助けたオオナムジ(後のオオクニヌシ)は、イナバノシロウサギの予言どおり、ヤガミヒメと結ばれるのですが、その事で八十神(ヤソガミ:オオナムジの兄弟神)のやっかみをかい、騙されて、真っ赤に焼けた大岩によって、焼き殺されちゃいます。そこに遣わされたのがキサガイヒメとウムガイヒメ(=ウムカヒメ)。2柱の女神様によって、オオナムジは「麗しき壮夫」となって復活します。ちなみにキサガイは赤貝、ウムガイはハマグリのことです。
お松:って事は、ハマグリの女神様がウグイスになって飛んできたんですか?
やや:そのあたりは、ナゾですが。もしかしたらハマグリとウグイスは関係ないかもしれません。でも、ウグイスであることが重要です。(←お松:ん?)
 オオナムジが殺され、キサガイヒメとウムカイヒメによって復活したのが、伯耆(ほうき)国の手間と言うところです。
お松:で?
やや:だから、ウムガイヒメ(ウムカヒメ)が登場したのは伯耆なんです。
お松:は?
やや:だからぁ、ウムカヒメは伯耆(ホウキ)から法吉(ホホキ)鳥になって飛んできたんです。
お松:お~!法吉は伯耆かもしれないと言う事ですか?
やや:法吉は、伯耆の女神様を祀った土地なのかもしれませんね。

おまけ
 法吉神社の境内社、稲荷神社にいた狛キツネ
法吉神社境内社稲荷神社の狛狐

お松:かわいい・・・。
やや:ちょっと、犬っぽい・・・。
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  1. 2017/03/20(月) 20:01:20|
  2. 神話の足跡探し
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粟の穂にはじかれてビヨヨヨ~ンって行っちゃった件について

 すでに、第何弾なのかも判らないほどやっている上に、カテゴリにするつもりのないスクナヒコナのネタです。

 松江市は、町の真ん中を大橋川が東西に貫いており、西の宍道湖と東の中海をつないでいます。それが、奈良時代に記された地誌『出雲国風土記』では、みんなまとめて「入海」と一括されています。現在では、米子市から境港市にかけて弓ヶ浜半島が伸び、海への出口が境水道のみ(近世に開削された佐陀川も日本海につながる)となってますが、当時の弓ヶ浜半島は、夜見島呼ばれ、米子市側でも日本海とつながっていたことから、中海の塩分濃度は現在よりも高かったようです。『出雲国風土記』は海岸地形、特に島を事細かく記載しているのが特徴で、日本海に面していない意宇郡(現在の安来市から松江市の南半を中心とする地域)でも、入海の島々を東から順に列記しています。この中には、現在では陸続きとなった粟島(米子市)や砥神島(安来市)が含まれている他、宍道湖に沈む夕日で有名な嫁ヶ島は、蚊島(←お松:げ!美しくな~い!)と記されています。
 で、今日、紹介するのは塩盾島です。宍道湖と中海を結ぶ大橋川に、ボコっとある唯一の島らしい島です。この島が中海方面からの海水の流入の盾となっていることから塩盾島と呼ばれた、と言う説もある島です。
塩盾島の全景

 島全体が、手間天神社となっており、秋の例大祭の時など、特別な行事のない限り、一般の人が渡る手立てはありません。
その手間天神社は、少彦名(スクナヒコナ)命を祀っています。スクナヒコナと言えば、ガガイモの皮の船に乗ってきた小さな小さな神様。オオクニヌシと共に出雲の国造りをしている最中に、粟の穂によじ登って、しなった粟の穂にビヨヨヨ~ンってはじかれて、常世国に飛んで行ってしまった神様です。
手間天神社

 『出雲国風土記』の記載には、この島に社は見えず、スクナヒコナとは記されていないので、奈良時代より後の時代に始まった信仰のようですが、意宇郡の一連の島の最初の方に記される「粟島」には、やはり、スクナヒコナを祀った粟島神社があり、粟の穂にはじかれた場所とする伝説が伝わっていることは興味を引きます。ちなみに、粟島神社のある米子市彦名の町名は、スクナヒコナの彦名からきているのだそうで・・・。
手間天神社鳥居と参道

お松:スクナヒコナ、大好きですよね!なんたって、粟の穂にはじかれてビヨヨヨ~ン!ですものね。確か、ややさん的には、出雲の神様じゃないんじゃないかって、考えてるんですよね。
やや:ここもそうですが、出雲中枢部では、スクナヒコナ関係の神話は、新しいものが多い気がします。でも、それでもあちこちにあるのは、昔から気になってる人が多かったんじゃないですか。
お松:なるほど、なんたって粟の穂にはじかれてビヨヨヨ~ンですものね。

やや:それよりも、最大のナゾは、
お松:ナゾは?
やや:なんで、粟の穂に登ったのか?
お松:・・・そんなこと?
  1. 2017/03/12(日) 14:54:38|
  2. 神話の足跡探し
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天狗山の磐座

 松江市八雲町にある熊野大社は、出雲地方を代表する神社。『出雲国風土記』にも出雲大社とともに「社」ではなく「大社」明記されています。『出雲国風土記』の神社記載は、神社名がず~らっと、記されているだけなのですが、それに続く山野の記載の「熊野山」に、「熊野の大神社が鎮座している」と、記され、社伝でも熊野山(現在の天狗山)の山頂近くにある磐座(いわくら)が本来の鎮座地とされています。なので、ちょっくら天狗山に行ってきました。
天狗山

 天狗山(天宮山)は、松江市八雲町と安来市広瀬町の境を接する標高610mの山(←お松:610m?!結構高~い!)です。登り始めてしばらく行くと意宇川(ゆうがわ)の源とされる、水のしみ出す場所があります。意宇川は、意宇(おう)平野を潤す川。意宇平野は古代出雲の中心地。国引きを終えた八束水臣津野命(やつかみずおみずぬのみこと)が、「おうぇ」っつたんで、意宇と呼ばれるようになった場所でもあります。
 表示の横には塩ビパイプから水が流れ落ちていましたが・・・、それじゃあんまりなので、その下で、水がしみ出ているところです。
意宇川の最初の一滴?

 で、さらにしばらく登ると、「不思議な構築物」と表示のある施設。石垣が2段に組まれています。これについては、まったく記録が無いそうですが、お社が建てられていた時代があったのでしょう。
不思議な構築物

 で、ずいぶん登って、やっと今日の目的地。熊野大社の旧社地とされる斎場跡です。
天狗山の斎場跡
 ガレ場がから仰ぎ見る上には巨石が口を開け、磐座となっています。古代には、ここに神様が降りたのでしょう。この場所は、本宮平(げんぐがなり)と呼ばれ、現在でも、5月の第4日曜日には、熊野大社の神職の皆さんを始め多くの方々による本宮祭が行われています。
斎場跡の近景
 熊野大社は、現在では、立派な社殿のある大きな神社ですが、元々の姿は、神の降りる磐座だけだったのかもしれませんし、『出雲国風土記』に見える多くの社がそんなものだったのでしょう。そんな古代の社の姿かもしれない何かを今に伝える天狗山でした。

おまけ:天狗山登山道に続く林道の・・・
カーブミラーだった何か

お松:カーブミラー・・・だった、何かですよね。でも、これじゃぁ・・・。
やや:目に頼るんじゃない。感じるんだ。Feel・・・。
お松:・・・。
  1. 2017/03/05(日) 21:39:19|
  2. プチ巨石ブーム
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須賀神社の波乗りウサギ

 とりあえず仕事が忙しいのと、職場に漂う異常な閉塞感と、他にもなんだかんだでなかなか更新もままなりませんが・・・。
 これではいかん!天気も良いので、冬眠中だったもう一台の愛車を引っ張り出してみることにしました。さいわい、タイヤの空気も抜けておらず、油の切れた様子もない。で、快調に走り出しては見たものの、やはり、向かい風と登り坂は避けるとして・・・。
 松江市春日町の須賀神社へ行ってきました。この前は、よく、車では通りかかるので、気になってはいたのですが、街中ですので、駐車に困らない方の愛車です。
須賀神社本殿

 小さなお社ですが、その石段の眼前を道路がぶったぎってまして、参道は、道路の向こうに小さく取り残されちゃってます。本来は、参道のさらに向こうを斜めに通る道が、県道恵曇線。つまり、昭和の幹線道路だったのですが、現在の広い恵曇線は少し西に付け変わり、参道を北循環線がぶったぎって、周囲にはドラッグストアにスーパーマーケット、マンションに住宅団地・・・。
須賀神社参道

 江戸時代の地誌「雲陽誌」には、御祭神は牛頭天王などと記されていますが、牛頭天王は仏教(本地垂迹説)での素戔嗚尊(スサノオのミコト)のことですので、現在の御祭神は須佐之男命とされています。

 で、そのぶったぎられた参道には、大きな灯籠があって、灯籠の台座にはあいつが居ます。あいつが・・・
須賀神社参道の灯籠

お松:波乗りウサギですよね。
やや:竿石の銘によれば、昭和4年生まれのうさちゃん達のようです。古い部類の波乗りウサギですが、一羽ではなく、4面に居ます。しかもちょっとブチャイク!
須賀神社の波乗りウサギ1

お松:こら!
やや:対の灯籠は文政八年ですので1825年!ムチャクチャ古いものですが、残念ながら火袋が壊れてしまっていて、波乗りウサギが居たかどうかは分かりませんが、もしかしたらいたかも・・・。
 波乗りウサギ、まだまだ意外なところにたくさん居るようです。
須賀神社の波乗りウサギ2

お松:これからも頑張って探してくださいませ!で、太ももとか、へいき?
やや:じ、じつは・・・。
  1. 2017/03/04(土) 17:04:13|
  2. 波乗りウサギに会ってきた
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二つの清水山

 相変わらず、ヒマと晴れ間を見つけては、安来市の清水山周辺に行っております。
 で、今日は、利弘町の賀茂神社です。安来市内には賀茂と名が付く神社が2つあるのですが、市街地ではない方の賀茂神社です。
賀茂神社の参道

 で、このところ頻繁に通っている清水山は、標高176mある清水寺のある山ですが、気になっているのは、そのわずか5km程西にある標高107mの山。その山の名がなんと、
お松:なんと?
やや:清水山なんです。
お松:いや、清水山には清水寺があるんでしょ?
やや:だから、わずか5kmほどしか離れていない所に、同じ名前の山があるんです。
お松:へ?・・・そ・それって、分かりにくくって不便ですよね。
やや:ま・まぁ、そうですね。ではここでは、清水寺のある方を東の清水山、そうじゃない方を西の清水山と呼ぶことにします。
 で、その西の清水山の麓に、賀茂神社があるので、気になるので行ってみました。
賀茂神社

  静かな境内には、御本殿の両脇に立派な境内社が・・・。もしやと思ってましたが、やっぱり。右のお社が嵩神社。そして東のお社は宮嶋神社です!
賀茂神社境内社の宮嶋神社

お松:なんだか、一人で盛り上がってますが、誰にも伝わってませんよぉ。何がそんなにおもしろいんですか?
やや:嵩神社は、東の清水山の隣の山にある神社です。嵩神社と清水寺に挟まれているのが清水峠。寺と神社ですが、山林修行に関わることは間違いありません。で、左の宮嶋神社と言うのは、西の清水山の麓にあった神社で、すでに元の神社はありませんが、境内から保元元(1156)年の銘がある地蔵菩薩懸仏(じぞうぼさつかけぼとけ)が出土したとされているんです。地蔵菩薩は密教の修行に関係があって、西の清水山でも山林修行のお寺があった証拠になるかもしれないんです!宮嶋神社は、すでに現地にはありませんが、関係するいろいろをここで見れたと。
お松:な・なるほど(・・・と、言いつつ、実はよく分かってない・・・)。まぁ、遭難しない程度にがんばってください。

おまけ
 賀茂神社の狛ワンコ!
賀茂神社の狛ワンコ

・・・は、普通なので、こちらも
随身門の木製狛ワンコ

 賀茂神社の随身門の中にいた古い木製の狛ワンコ!
お松:ま、丸顔~ぉ!
  1. 2017/02/19(日) 15:54:56|
  2. 山寺で修行中
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 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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