木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

寒かったけれど玉作湯神社に行ってみた

 この冬最強寒波到来!出雲地方でも、昨日は危険を感じるほどの荒れ模様で外出自粛でしたが。今日は、時折、薄日も差す程度まで回復したので・・・。雪の山道を車で走る気もしませんが、安全なところで、玉作湯神社に行ってきました。背後の山は、あのカラス天狗のいる玉造金比羅宮です。
玉造金比羅宮

足跡の無い新雪の上を歩く気分は最高ですが、画像はイマイチだったので、今日は、その下の玉作湯神社のご紹介です。
 玉作湯神社は『出雲国風土記』「意宇郡」条に「玉作湯社」と見える神社です。玉造と言えば玉造温泉ですが、『出雲国風土記』には、「一度温泉を浴びればたちまち姿も麗しくなって、再び浴びればどんな病気もすべて治る。昔から今に至るまで効き目のなかったことがない。だから神の湯と呼ばれている」のだそうです。
玉作湯神社本殿

 古代においても温泉は、レジャーだったようで、「毎日集まり市が立ったように賑やかで、宴を楽しむ」と、記されています。そんな光景をホンの1,200年ほど見守ってきた神社です。
お松:一度浴びればたちまち麗しくなるって、よいですねぇ。今に至るまで効き目のなかったことが無いとか、もちろん私も、何度か浴びていますが。
やや:史上初めて効き目が・・・。
お松:な・なにを言うか!?

おまけ
玉作湯神社境内稲荷宮の狛キツネさん

 境内の稲荷宮にはハンサムな狛キツネさん
スポンサーサイト
  1. 2017/01/15(日) 17:22:40|
  2. 神話の足跡探し
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

和爾と玉日女さま

 奥出雲町の鬼舌震(おにのしたぶる)です。一般的には鬼の舌震い(おにのしたぶるい)と呼ばれる景勝地です。斐伊川の支流、大馬木川に巨石・奇岩がごろごろと転がり、急流がごうごうと音を立てて流れる光景は迫力満点。さらに近隣の鉄山師が残した山林は、秋には美しく紅葉します。
鬼舌震

 古い遊歩道があったのですが、近年になって吊り橋やバリアフリー遊歩道が整備され、紅葉の季節には、見学者も増えています。
鬼舌震の恋吊り橋

 さて、この鬼舌震なる名前は、そもそもは、奈良時代の地誌でる『出雲国風土記』の仁多郡条に見える記載が元になっています。それによると・・・

「恋山(したいやま)。郡家の正南二十三里にある。古老が伝えて言うには、和爾(わに)が阿伊村にいらっしゃる神、玉日女命(たまひめのみこと)を恋慕って、川を上ってきた。その時、玉日女命が石で川を塞いでしまわれたので会うことができないまま慕っていた。だから恋山(したいやま)と言う。」
玉日女神社の社殿

 和爾(サメ?)が玉日女さまを恋慕って来たけれど、玉日女さまが石で川を塞いでしまった。だから和爾は、恋慕って慕い山。
 それが、江戸時代になると、この辺りの山は志多布留山(したふるやま)と呼ばれたことが判っており、「玉日女さまに会えなかったワニは舌を震わせて退いた」と言う伝説に変化しており、それ以来、「和爾」が「鬼」に変わり、「舌震」が「舌震い」となったようです。
その玉日女さまを祀る社が鬼舌震の遊歩道沿いにあります。それは小さな小さなお社で、巨石を投げて川を塞いだ怪力の持ち主と思えない奥ゆかしさです。
玉日女神社

お松:和爾も恋慕う、可愛らしい女神様です!
やや:ところで、この和爾は、ハンマーヘッドシャーク・・・つまりシュモクザメと考える研究者がいるようです。
お松:わざわざ、ハンマーヘッドとか言わなくてもいいのに・・・。で、シュモクザメではないんですか?
やや:現在でも、海から遠く離れた中国山地の三次市周辺などでは鰐(わに:サメ)料理が名物となっています。冷蔵庫のなかった時代、腐りにくいサメは、海から離れた山間部でも食べられていたようです。
お松:じゃぁ、シュモクザメでもいいじゃない?
やや:食べてた切り身のシュモクザメが恋慕って?
お松:・・・。
やや:淡水の大馬木川をシュモクザメが泳げるはずがない!と言う研究者(特に生物学者)もいます。で、アシカ・・・絶滅した日本アシカではないかと・・・。アシカなら、淡水でも平気なんだとか・・・。
お松:アシカなんですか?
やや:大馬木川に転がる巨石や奇岩が、伝説のモチーフなのは、きっとそうなんでしょう。で、和爾がシュモクザメかアシカか、それともまさかのアリゲーターなのか、それは・・・。
お松:それは?
やや:ど~でもいい!だって、神話なのだもの!
お松:また、つまんない結論になってしまいました・・・。
  1. 2016/11/13(日) 18:29:45|
  2. 神話の足跡探し
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

スクナビコナとオオクニヌシ

 たまたま近くまで来たもので、ちょっとだけ時間もあることだし・・・道幅の狭い、急斜面の道を歩いて下って・・・、静かな漁村の狭い道を行くと・・・
静間の海岸

お松:うっみ~!
やや:久しぶりに、大田市静間町の静の窟(しずのいわや)に行ってみました。
 静の窟は・・・。何年か前に、この話をしたことはありますが(←お松:と~ぜん忘れてますので、も一回!)。
それは神話のお話です。『古事記』によれば・・・、
 オオナムジは、数々の試練を乗り越えて、大国主命となり、国造りを始めます。ある日、オオクニヌシが美保の岬(現在の美保関のことか?)にいたとき、海の上に小さな小さな神が現れました。
 その神はガガイモの皮の船に乗り、蛾の羽を着物にしたとても小さな神です。
 オオクニヌシは、その神を名を尋ねましたが、誰も知りません。その時、ガマガエルが「かかしのクエビコならきっと知ってるでしょう」と、無責任に言い放ちます。
 さっそく、かかしのクエビコを呼んで尋ねると、「カミムスヒの御子のスクナビコナです」と、答えた。
お松:かかしのクエビコ!すご~い!確か、ハウルの動く城にも出てた?
やや:たぶん、違う。
 でぇ、
 呼ばれたカミムスヒは、「確かに私の子です。生まれてすぐに、指の間から漏れ落ちた子に間違いない(←お松:どんだけ小さかったんですか?)。オオクニヌシと兄弟になって、国を作り固めなさい」と、答えたとされています。
お松:わ?割と、簡単に兄弟になるんですね。
やや:そのスクナビコナとオオクニヌシが国を作り固める相談をしたのが、この静の窟だとされています。
静の窟

お松:神話の神様であるオオクニヌシとスクナビコナが相談をした場所が、現実にあること自体、とんでもないですね。
やや:ホント、とんでもないですね。で、『古事記』では、その記述の直後に「スクナビコナは常世の国へ飛んで行ってしまった」と、唐突に終わっちゃいます。
お松:は?あ?粟の穂によじ登って、しなった粟の穂にびよよよ~んってはじかれちゃった、あの話ですね。
やや:びよよよ~んっです。で、とにかく、この話は唐突に始まって、唐突に終わっちゃう話です。なので、おそらくは、本来は無かった話が、『古事記』を編集する際に、放り込まれたのだと思われます。
 そもそも、『出雲国風土記』では、飯石郡にスクナビコナ関係の伝承があるだけで、ほとんど記載がありません。でも、静の窟の伝承地は、ここを含めて石見地方に2件。粟の穂にはじかれてびよよよ~んっの神話は、伯耆などあちこちに知られます。出雲の伝承でない神話が、出雲系の神話に放り込まれたようですね。
お松:・・・ん~。でも、おもしろいから許す。
やや:まったくだ!『古事記』では、このエピソードの次の話が「国譲り」です。「国作り」をささっと書き飛ばした後、「国譲り」です。
静間神社

 さて、
 現在の大田の静の窟のすぐ上には静間神社があります。神社は何度か移転しているので、静の窟との直接の関係は疑問ですが、静の窟を守り伝えているのは間違いありません。

おまけ
静間神社の狛わんこ

お松:さらに、そのお社を守っております。
やや:若干、表情がふざけてますが・・・。
お松:守ってます!
  1. 2016/10/15(土) 21:11:21|
  2. 神話の足跡探し
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

気がつけばすっかり秋

 このところ、公私ともに多忙につき、ネタもなく・・・手近な話題で・・・。
ついこの間まで、暑い暑いと言っていたのに、気がつけば10月。急に秋らしくなって・・・。
お松:だ・だいぶたってますが・・・。とにかく、我が家のサツマイモも、今年も(小っさいけれど)豊作!さて、次は何を植えようかなぁ?
やや:・・・お松さんはほっといて・・・。
 さて、10月と言えば出雲地方では神在月です。とは言っても、旧暦の10月のことですので、今年は、カレンダーの10月31日が旧暦の10月1日。つまり、神在月の始まりですね。
佐太神社

 文献上は最も古い記録があり、おそらく、神在祭を始めたのであろう松江市鹿島町の佐太神社では、御遷宮がめでたく終了し、先月、正遷座祭が行われました。長いこと仮殿でのお参りでしたが、ピッカピカの屋根が3棟が並ぶ、独特の社殿でのお参りが再開されたところです。
お松:ってことは、今年の神在祭はいっそう賑やかに?
やや:神在祭の間は、全国から八百万の神々が出雲に集まって、会議をされることになっています。なので、出雲地方では「お忌みさん」と呼び、会議のじゃまをしないよう、歌舞音曲を自粛し、普段よりいっそう静かに過ごすことになっています。
お松:そ、そうでした。なのに、出雲大社界隈では、都会から来た観光客が大騒ぎ!
やや:都会から来たって、田舎から来たって、出雲大社界隈では大騒ぎ!とにかく、本来は静かに過ごすべき期間とされていました。
 で、
 出雲大社など、主に出雲西部の神社では、神在祭を旧暦で行われるところが多いのですが、佐太神社では月遅れ。つまり、1月遅れで行われます。なので、毎年11月20日に神迎え祭を行って八百万の神々を迎え、11月25日の神等去出(からさで)祭で、全国各地へお送りされる事になります。
佐太神社御本殿

お松:毎年思うのですが、月遅れと旧暦がゴチャゴチャなので、こっちで神送りしているのに、別の神社では神迎えしていたり、神様も大変ですよね。今年の神在月は10月31日からってことなので、旧暦と月遅れの誤差が1日?今年はその矛盾が少なくて良いですね。
やや:では、さしてネタもおまけもないので、今日のところはこのあたりで・・・。
  1. 2016/10/10(月) 18:04:15|
  2. 神話の足跡探し
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

八塩折りの酒を醸してみた

お松:こにゃにゃちは~!ひっさしぶりにこんな挨拶で始めて見ましたぁ。
 なんか、最近、鳥取方面のネタが続いているので、ここは一発、出雲らしいネタとかないんですか?思いっきりディープな出雲がよいです。
やや:無い。
お松:お~い!
やや:ぐげぐげ・・・。笑顔で首を絞めるな~。わかりましたよぉ。では、ヤマタノオロチとかで。
お松:お?良いですねぇ。
やや:『古事記』『日本書紀』によれば、スサノオは荒ぶる神。高天原でいろいろやらかしちゃって、何人か殺しちゃったり。終いには、天照大神が、岩屋戸隠りをするまでの大事件となります。
 で、高天原を追放されちゃう訳ですが、追放されて降り立つのが「肥の川上の鳥髪(ひのかわかみのとりかみ)」です。
 ここで、スサノオは泣いている老夫婦に出会い、クシイナダヒメを守るため、ヤマタノオロチと戦うんですが・・・。
お松:高天原で暴れまくった、荒ぶる神だったはずのスサノオは、なぜか出雲では、正義のスーパーヒーローになっちゃうんですね。
やや:出雲だったかどうかは判りませんし、元は別の神話だったかもしれません。少なくとも、高天原での話とヤマタノオロチと戦う話は、その成立年代が違うのでしょう。それに、スーパーヒーローとは言ってもヤマタノオロチを酔っ払わせて、眠りこけたところを襲うという、卑怯きわまりないヤツですけどね。
 ところで、スサノオが降り立った「肥の川上の鳥髪(ひのかわかみのとりかみ)」は、後に、斐伊川の上流の鳥上の滝がある「船通山」。だと考える方が多かったようです。そのため、斐伊川流域にはスサノオやヤマタノオロチに関わる伝承地が点々とあります。
で、ここは雲南市木次町寺領の釜石。
八塩折りの酒を醸した釜石

お松:穴の開いた不思議な岩?これ、自然の岩ですか?
やや:自然の岩です。まるで昔のかまどのように見えるこの岩は、スサノオが「八塩折りの酒(やしおりのさけ:きっつ~い酒)」を醸したかまどなのだとか。
お松:八塩折りの酒を醸したって、ど言うこと?蒸留したの?蒸留酒ってウィスキーとか焼酎?この時代に蒸留酒ってあるんですか?
やや:この時代っていつだ?『古事記』『日本書紀』の書かれた奈良時代だったらば無い。ま、とにかく、この不思議な形を見た昔の人は、そんな事を思ったのでしょう。
 でぇ、
 ここも、結構な山の上にあるんですが、その更に上の方には、布須神社が在ります。
室山の布須神社拝殿

お松:これがまた急な石段?
やや:その先に拝殿があって、拝殿の先は・・・。
拝殿の先は・・・布須神社です

お松:鳥居が・・・鳥居があるだけですか?
やや:奈良の大神(おおみわ)神社などと同様に、本殿がなく、山・・・ここの場合は室山という260mの山そのものが本殿であり、ご神体です。
お松:神社としては古い形なんでしょうか?
やや:それは判りませんが、そもそも神社とは神の降る場所を祀ったものですから、本来的にはこんなものなのでしょう。
160806d.jpg

お松:でも、とりあえず、車で行けるんですね。なんか、山寺めぐりで、すごいところばっかに行ってる気がしたので、車で行けるところは安心ですねぇ。
やや:大変な道でしたけどね。ちなみにこの神社の背後には、かつては四十二坊もあった山寺だったとか。
お松:やっぱり、それが目的だったか・・・。
  1. 2016/08/06(土) 17:36:59|
  2. 神話の足跡探し
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

やや

Author:やや
 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

出雲のお庭 (33)
石見のお庭 (8)
お庭でひとりごと (53)
お松との会話 (53)
いわゆる出雲流庭園 (11)
雪舟を探して (8)
雪舟が見つからなくって (8)
お庭 (4)
屋根フェチの小部屋 (26)
未分類 (0)
ネタ切れにつき在庫処分 (12)
プチ巨石ブーム (23)
石見銀山で散歩 (22)
神話の足跡探し (56)
小泉さんの散歩道 (7)
山寺で修行中 (36)
波乗りウサギに会ってきた (9)

木を見て庭を見ず

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR