木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

遊びをせんとや生まれけむ~の続き

 後白河法皇の『梁塵秘抄』に導かれ、日御碕神社に行った話の続きです。
夏の終わりの稲佐の浜

 日御碕神社では、大きな2つの社殿で、天照大神とスサノオ命を中心にお祀りされていますが、そもそもこの神様方、『古事記』によれば、イザナギ命が、亡くなったイザナミ命に会いに行って、黄泉醜女(ヨモツシコメ)とかに追いかけ回され、やっとこさ逃げ帰ってきたところで登場される神様方です。
 何とか逃げ帰ったイザナギ命は禊(みそぎ)を始めます。で、左目を洗ったときに現れたのが天照大神、右目を洗ったときに現れたのが月読(ツクヨミ)命、そして鼻を洗ったときに現れたのが建速須佐之男(タケハヤスサノオ)命、つまりスサノオ命です。3神が現れたのに喜んだイザナギは、アマテラスに高天原を、ツクヨミに夜の国を、スサノオには海原を治めるように命じました。
お松:な、なんか・・・。アマテラスとツクヨミは対になっているような感じですが、スサノオは鼻から?太陽神と月の女神が高天原と夜の国って言うのは判る気もしますが、スサノオは海原なんですね。
やや:で、気に入らないスサノオはイザナミのいる根の国に行きたいとダダをこね始め、暴走が止まらなくなって天岩戸事件に発展するのですが・・・。今日は月読命です。
お松:あまり印象がない神様ですが・・・。
やや:『古事記』『日本書紀』にも登場する機会の少ない神様ですね。
 さて、日御碕神社です。
 日御碕神社は、『出雲国風土記』記載の美佐伎社と考えられており、当時は、現在の経島(ふみしま:ウミネコの繁殖地として有名)にあったようです。もちろん、天照大神とは書かれていません。出雲地方の古い文献からは、日御碕神社と天照大神や月読命の関係は追いにくいようですが、中央の歴史書にはそれらしい一文が出てきます。
 『日本書紀』には・・・、『日本書紀』は本文だけでなく、「一書に曰く」として、別の伝承を列記しているのが特徴ですが・・・、有名な国譲り神話について、「一書に曰く」としてフツヌシ神が、オオアナムヂ(オオクニヌシの別名)に国譲りの条件を示しています。それが、
 「住むべき宮殿は、日隅宮(ヒスミノミヤ)と同じように大きな神殿を建てましょう」
ということです。
お松:大きな神殿というのは出雲大社のこと?ヒスミノミヤは・・・あ、ヒシズミノミヤ?日沈宮の事ですか?
やや:そうとも取れそうですよね。とにかく日本海に沈む夕日を背に、天照大神を祀った日沈宮を建て、月の昇る東の天一山に月読命が祀られているようです。
月読神社の参道

 日御碕神社に車を止めて、県道をしばらく登ると月読神社の参道が見えてきます。で、そこから登ること15分ほど。
月読神社本殿

 山頂近くの月読神社に到着です。日沈宮や神の宮に比べると恐ろしく質素なお宮ですが、それでももちろん、地元の皆さんに大切に管理されており、道もしっかりしています。
お松:山頂からの眺望は?
天一山から見た経島

やや:何とか見えるのは経島!『出雲国風土記』記載の美佐伎社のあった場所ですね。
お松:日御碕神社は?
やや:もちろん見えます。
天一山から見た日御碕神社

お松:・・・。見えると言えば確かに・・・。
やや:真夏に行く所じゃないな・・・。
お松:・・・そう言えば、山寺はどうしたんでしたっけ?
やや:あ、続く・・・ってことで。
お松:だ、だいじょうぶかぁ?
スポンサーサイト
  1. 2017/08/20(日) 18:45:16|
  2. 山寺で修行中
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

遊びをせんとや生れけ~ん(前編)

 いや~。夏もそろそろ後半戦。
夏の終わりの稲佐の浜

 なのに遊んでいるヒマがな~い!本当なら・・・
 ♪遊びをせんとや生れけ~ん  ♪たわむれせんとや生れけん~
お松:どっかで聞いたことがあるような?
やや:何年か前、松山ケンちゃんがやってた『平清盛』のオープニングですね。
お松:ん?「山寺で修行中」カテゴリですが、松山のケンちゃんと何の関係が?
やや:松山ケンちゃんはどうでも良くって、松田ショウタくんがやってた後白河法皇ですね。後白河は、院政期の、つまり平安末期の天皇、退位後は法皇として権勢を振るい、源氏や平家と覇権を争ったので有名なかたですね。
お松:源平の合戦の直前の人?平清盛と並んで、歴史上はあまり好かれていないキャラのようですが、この手の人は、へそ曲がりのややさんのお好きなタイプでは?
やや:平清盛と並び、大変立派な業績を挙げたかたです。冒頭の「♪遊びをせんとや生れけ~ん」は、『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』と言う後白河法皇が治承年間(1180年頃)に編まれた歌謡集の一節です。残念ながら内容の多くは失われてしまいましたが、一部が伝えられています。後白河法皇は、この他にも『年中行事絵巻』を作らせるなど、当時の文化を現代に伝えると言うたいへんな功績を残されたです。平清盛と共に平安末期の最高におもしろい人達なのですが、それを源頼朝がムチャクチャにひっくり返して・・・。
お松:はい、はい。で、その松田ショウタくんがど~したの?
やや:え~、その『梁塵秘抄』の中に
 「聖(ひじり)の住所(すみか)は何処(どこ)どこぞ~ 箕面よ勝尾よ、播磨なる、書写の山、出雲の鰐渕(わにぶち)や日の御崎~ 南は熊野の那智とかや~」
と言う一節があって、聖のすみか・・・つまり山林修行僧が居た有名な場所と言うのが詠われているんです。箕面や熊野の那智なんかが、平安時代の都でも有名だったと言う事ですね。
お松:お~!出雲の鰐淵というのは、現在の鰐淵寺のことですね?
やや:その周辺の山の事なのでしょう。それよりも気になっているのが日の御崎~。
お松:日の御崎~は、日御碕の事でしょう?
やや:日御碕って、密教のお寺とか修験道とかで有名ですっけ?
日御碕神社日沈みの宮

お松:あ・・・?日御碕神社はあるけれど、そう言えば、お寺の印象って無いですね。日御碕神社と言えば、近頃は日本遺産「日が沈む聖地出雲」に選ばれたので話題の・・・。
やや:・・・。
お松:お~い!
やや:日本遺産とか、よく分からないものは置いておいて、天一山(あまかずやま)です。
日御碕神社神の宮から見た天一山

お松:お~い、カメラがあらぬ方向を向いてますぜ~?
やや:よいの。現在の日御碕神社の社殿は、随身門の真っ正面にあるのが、天照大神を祀った「日沈みの宮」。向かって右手の小高いところにあるのがスサノオ命を祀った「神の宮」。
お松:ご兄弟の神様を同時に祀っているんですね。
やや:3人兄弟の真ん中をお忘れですよ。
お松:あれ?
やや:月読(ツクヨミ)命ですね。
お松:忘れてるんですか?
やや:・・・。だから、その月読命を祀ったお社があるのが天一山。日御碕神社の真正面にそびえる標高約130mの山です
お松:へ~。
 で、そこに登ったんですね。でも、月読命・・・まだ、山寺じゃない・・・。
やや:と、言う訳で次回に続く。
お松:だ、だいじょうぶか次回?本当にあるのか?次はいつだ~!
やや:やかましい!
  1. 2017/08/19(土) 22:33:22|
  2. 山寺で修行中
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

二つの清水山

 相変わらず、ヒマと晴れ間を見つけては、安来市の清水山周辺に行っております。
 で、今日は、利弘町の賀茂神社です。安来市内には賀茂と名が付く神社が2つあるのですが、市街地ではない方の賀茂神社です。
賀茂神社の参道

 で、このところ頻繁に通っている清水山は、標高176mある清水寺のある山ですが、気になっているのは、そのわずか5km程西にある標高107mの山。その山の名がなんと、
お松:なんと?
やや:清水山なんです。
お松:いや、清水山には清水寺があるんでしょ?
やや:だから、わずか5kmほどしか離れていない所に、同じ名前の山があるんです。
お松:へ?・・・そ・それって、分かりにくくって不便ですよね。
やや:ま・まぁ、そうですね。ではここでは、清水寺のある方を東の清水山、そうじゃない方を西の清水山と呼ぶことにします。
 で、その西の清水山の麓に、賀茂神社があるので、気になるので行ってみました。
賀茂神社

  静かな境内には、御本殿の両脇に立派な境内社が・・・。もしやと思ってましたが、やっぱり。右のお社が嵩神社。そして東のお社は宮嶋神社です!
賀茂神社境内社の宮嶋神社

お松:なんだか、一人で盛り上がってますが、誰にも伝わってませんよぉ。何がそんなにおもしろいんですか?
やや:嵩神社は、東の清水山の隣の山にある神社です。嵩神社と清水寺に挟まれているのが清水峠。寺と神社ですが、山林修行に関わることは間違いありません。で、左の宮嶋神社と言うのは、西の清水山の麓にあった神社で、すでに元の神社はありませんが、境内から保元元(1156)年の銘がある地蔵菩薩懸仏(じぞうぼさつかけぼとけ)が出土したとされているんです。地蔵菩薩は密教の修行に関係があって、西の清水山でも山林修行のお寺があった証拠になるかもしれないんです!宮嶋神社は、すでに現地にはありませんが、関係するいろいろをここで見れたと。
お松:な・なるほど(・・・と、言いつつ、実はよく分かってない・・・)。まぁ、遭難しない程度にがんばってください。

おまけ
 賀茂神社の狛ワンコ!
賀茂神社の狛ワンコ

・・・は、普通なので、こちらも
随身門の木製狛ワンコ

 賀茂神社の随身門の中にいた古い木製の狛ワンコ!
お松:ま、丸顔~ぉ!
  1. 2017/02/19(日) 15:54:56|
  2. 山寺で修行中
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

本当にしつこいようですが、清水山に行ってきました

 先日は、我が家のガレージから車を出す事も不可能なほどの大雪でしたが、ようやく一段落・・・かと思えば、最高気温10度!極端な天候が続いている山陰地方です。
 晴れたので、このところはまっている安来市の清水寺へ向かってみました。
雪の清水寺

 雪をかぶった根本堂からは、法会が行われているようで、般若心経が聞こえてきますが、その前は素通りして、かろうじて見える数人分の足跡をトレースしながら清水山の山頂へ向かいます。
清水山から見た大山

お松:ひゃ~、絶景ですね!眼前に大山!たまたま飛び交った飛行機雲もすてきです!
やや:ですよねぇ。良い眺めです。
お松:で、なんで、清水山に頻繁に通っているんでしたっけ?
やや:平安時代以前の、清水寺の成立を考えてまして、それで頻繁に通っている訳ですが・・・、こんな風景を見てると、山林修行者にとっても、大山も無関係ではなそうですよねぇ。
お松:・・・まぁ、せいぜいがんばってくださいませ。
  1. 2017/01/28(土) 21:22:17|
  2. 山寺で修行中
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

しつこいようですが、またまた清水山に行ってみた

お松:本当に、しつこいですねぇ。
やや:天気が良かったもので・・・。
 え~、清水山に、また行ってきました。清水山は安来市。出雲東部を代表する天台宗の古刹、清水寺のあるお山です。現在の参道は、北西側からが一般的ですが、戦前までは東側の門生から登るのが表参道で、駅まであったとか、そんな話をしてきましたが・・・。
お松:まだ、続きがあるんですね。
やや:実際に歩いてみました。
お松:え?
やや:歩いてみました。
 と、言っても門生側に車を置きっぱにできる都合の良い場所もないので、清水寺の一般的な参道を上がって、仁王門を過ぎて、そこから一旦、門生方面に降りて・・・。で、昨日、紹介した清水広瀬街道に出ます。江戸時代に広瀬藩主が参勤交代した道です。それを少し引き返すように登ると、清水峠です。
清水峠

 参勤交代路ですので、峠と言っても比較的なだらかに切り通されています。
 で、その先を、清水山とは反対側に登ってみます。
嵩神社の鳥居

 で、今日の目的地、嵩神社です。清水山の南に隣接する山の山頂近くにある小さなお社ですが、車で近づけない山中にあるとは思えないほど広い境内に社殿が建っています。
嵩神社本殿

 御本殿の後ろ側の崖の上にあるのが、この神社のご神体である岩。
嵩神社の岩

 プチ巨石ブーム的には、プチの名にふさわしい小ささですが、人によってはスピリチュアルななんだかを感じる方もいらっしゃるそうです。
お松:当然のように、何も感じないややさんでした。
やや:とにかく、江戸時代までの幹線道路である清水広瀬街道を挟んで、北に清水寺、南に嵩神社があり、周囲が信仰の場であることがよく分かりました。

おまけ
 近年に御遷宮になったピカピカの嵩神社本殿で、かくれんぼの最中の先代ミニ狛ワンコさんたち。
先代ミニ狛ワンコ

お松:なんだか、かわいいですね。

もひとつおまけ
嵩神社の狛ワンコ

 ひとり山中をさまようややさんをあきれて見る現役狛ワンコさん
  1. 2016/12/18(日) 18:37:34|
  2. 山寺で修行中
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
次のページ

プロフィール

やや

Author:やや
 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

お庭でひとりごと (58)
お松との会話 (54)
出雲のお庭 (33)
いわゆる出雲流庭園 (11)
石見のお庭 (8)
雪舟を探して (9)
雪舟が見つからなくって (8)
屋根フェチの小部屋 (26)
プチ巨石ブーム (23)
石見銀山で散歩 (22)
神話の足跡探し (63)
小泉さんの散歩道 (7)
山寺で修行中 (38)
波乗りウサギに会ってきた (10)
ネタ切れにつき在庫処分 (12)
未分類 (0)

木を見て庭を見ず

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR