木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

久しぶりの天空のお庭

 ちょいと用事があって、国道9号線を西へ突っ走っておりましたが、あれ、小一時間ほどなら時間がとれそうだってんで、久しぶりに天空のお庭に上がってきました。
大麻山神社参道
浜田市三隅町の大麻山は標高599mの独立峰、山頂には、テレビ塔が建ち並び、眼下には日本海から浜田港辺りまで一望できるロケーション。
 この山頂近くにあるのが大麻山神社です。長い石段の先に石見らしい赤瓦の立派な拝殿が見えています。
大麻山神社本殿
 この大麻山神社の社務所の横には、日々の手入れも掃除も行き届いているのに見学自由という、欲の皮のつっぱた某和尚に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい・・・。とにかく、十分に手入れされているのに見学自由と言う、もったいないお庭、大麻山神社庭園があります。
大麻山神社庭園
 縁起では平安時代に遡る可能性ある真言宗尊勝寺の塔頭のお庭と考えられ、江戸初期頃のお庭でしょうか。尊勝寺は天保7(1836)年に大雨に伴う地滑りで被災した上、明治5(1872)年の浜田地震で壊滅。例の、神仏分離の時期だったため、再建されること無く・・・。昭和になって、このお庭が庭園史研究の大御所である重森三玲氏に「発見」され、今日に至っています。

お松:そう言えば、お庭ブログだったことがありましたよね。
やや:う・・・。その看板を下ろした覚えはありませんけどね。確かに、久しぶりではあります。
 ま、それはともかく、この尊勝寺。真言宗のお寺で、平安時代に遡る可能性がある、つまり、今、はまっている古代の山寺そのものなんですわ。神社とセットになっているのもセオリー道理で、けっこうたまらない感じです。
お松:なるほど、それで見に行ったんですね。お庭としては、どういった感じでしょう?
やや:ちょっと不思議なお庭です。600m近い高所にあって、お庭のすぐ後ろにはすんごいロケーションが広がっているのに、まったく借景を使わず、平地にあるお庭を山の上に持ってきたような・・・。
大麻山神社庭園から見た浜田港付近
お松:なるほど、なんだかもったいないような?
やや:尊勝寺の塔頭がここだけだったはずはありませんので、いろんなお庭があって、ここだけが残ったのだろうとは思いますがね。このお庭も、庭のど真ん中に靴脱ぎ石があって・・・。
大麻山神社庭園の靴脱ぎ石
お松:え~?庭のど真ん中で靴を脱ぐんですか?
やや:んなアホな?元々、ここまで縁があったんです。現在の建物はずいぶん後ろに引いて建てられていますが、お庭も変化しているんです。
お松:なるほど、とにかく、ひっさしぶりぶりのお庭ネタですよね。過去のお庭ネタは、え~と・・・。あー!去年の9月の益田以来?なぜか、9月になると石見に行って、お庭を見るんですね?
やや:別に決めている訳ではないですけどね。
お松:では、また来年!
やや:だからぁ・・・。
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  1. 2015/09/20(日) 21:15:23|
  2. 石見のお庭
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夏の手水・・・

 梅雨明けしてから暑い日々が続いております。
 さて、余計なお世話ですが・・・
 住人が無く、公で管理公開されている古民家や歴史的建造物って、なんだか魂が抜かれたような、と言うか、あっさり言うと生活感が無いと言う気がしませんか?(←お松:生活してないんですよぉ?←やや:いや、そう言うことじゃなくって)生活に関わるものが、一切置かれていない部屋。部屋から庭を見ても、視界を妨げるものが全くない。年中同じしつらえ・・・って、本当は変ですよね。
熊谷家の夏のしつらえと手水

 画像は、石見銀山熊谷家の袈裟形手水鉢です。この重要文化財熊谷家住宅では季節毎のしつらえに、大変なこだわりを持って管理されています。真冬には、冬の建具で薄暗く、火鉢や、部屋によってはこたつが置かれたりしていましたが、今頃は、夏のしつらえで迎えてくれます。開け放たれた戸、涼しげな建具。それだけでなく、ひしゃくが添えられ使える状態にされている手水が、きっと当時(いつだ?)の息づかいを醸し出しているのでしょう。
今日は、これだけ・・・。
  1. 2013/07/14(日) 07:05:55|
  2. 石見のお庭
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今日のかめさん(ずいぶん前ではありますが)

直接のお庭ではありませんが、お庭には付きものと言うことで、手水の画像を・・・。
 世界遺産石見銀山のど真ん中に鎮座する佐毘売山神社の拝殿の前にはカメが居ます。普段なら、口から水を吐き出しているのですが、冬の渇水の時期にはカメも冬眠中のようです。佐毘売山神社を愛する誰もが気にしているカメさんです。
佐毘売山神社のかめ

かめの手水

 毎日手入れされる熊谷家の手水と違って、落ち葉だらけで、とても使う気にはなれない手水ではありますが、行けば必ず挨拶したくなるカメさんなのでした。
  1. 2013/03/09(土) 07:55:07|
  2. 石見のお庭
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石見銀山の武家屋敷河島家住宅

 パンフレットによると、河島家住宅は寛政12(1800)年の大森大火より後に造られ、文政8(1825)年までに座敷奥ノ間が増築されたと推定されています。発掘調査で飛石の痕跡が確認され復元されたお庭は、その奥ノ間に伴うものですので文政年間頃?・・・まぁ、判りませんが、築山の低い平庭に作られています。
武家屋敷河島家のお庭
 大森の町並みでは、武家屋敷と町屋が混在していますが、おおざっぱに言えば、通りに軒を接しているのが町屋で、塀を巡らし、通りとの間に前庭を置いているのが武家屋敷と言うことになります。特に、件の大火後の再建では、主に町屋には赤い石州瓦が葺かれ、武家屋敷には灰色の宅野瓦が使われた場合が多かったようです。現在では、圧倒的に石州瓦が使われていますけれど、本来は、もう少し黒瓦の混在割合が高かったはずです・・・
 庭の話ではないですね・・・。

大森の蛇口
おまけの画像:大森の町並みで見つけた蛇口。
 蛇口でしかない。蛇口だけれど水は出ない。しかし、確かに、そこに蛇口は存在する・・・。
  1. 2013/01/20(日) 10:01:49|
  2. 石見のお庭
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柔らかい石

 標高599mの大麻山山頂は360°の大パノラマ。だから山頂にはテレビ局各社の電波塔が建っています。柔らかいおにぎり形のこの山は、たぶん海から見ても目立つ山に違いありません。日本海を行く船はこの山を目印に・・・
 この山の山頂近くにある大麻山神社の社務所の横にある庭園は、ちょっと似たものが無い、独特の雰囲気。気になるお庭です。
 そもそもは大麻山神社の神宮寺である真言宗尊勝寺のお庭だったとのこと。その尊勝寺は天保7(1836)年に大雨に伴う地滑りで被災し、庫裏だけが再建されたものの、明治5(1872)年の浜田地震で再び被災。この時は再建される事もなく・・・。そして、昭和17年に重森三玲氏がお庭を発見?!・・・『日本庭園史体系』に重森完途氏がそう記しています。おそらく、一般的に庭の存在が忘れられていたのだろうと思われますが、庭そのものは大麻山神社によって、しっかりと維持されていたのではないかと・・・それを重森三玲氏が評価した。と言うことだと想像されます。
 さて、このお庭、説明板などには「遠州流」と記されていたりします。え?遠州流?小堀遠州ですか?・・・重森完途氏は『日本庭園史体系』の中で、「お茶はともかく、お庭に遠州流は無い」とばっさり・・・。このお庭を見回して見ても、遠州を思わせるものは・・・うねるように続く刈り込みが頼久寺(岡山県)や大池寺(滋賀県)を思わせる・・・と言うことかもしれませんが、古写真を見ると、ツツジは普通に丸く刈り込まれていますので、この刈り込みは近年になってから始めたものの可能性があります。とにかく、どこが遠州流かは判りません。

大麻山神社庭園の刈り込み


 別シリーズで「雪舟を探して」を始めちゃいましたが、その調べの途中で、「雪舟作庭」と言われるお庭を検索していると、この大麻山神社庭園を雪舟作と考えている方もいたようで驚きました。まさか単純に「石見の優れたお庭は雪舟作」と言う話ではないと思いますが・・・。重森三玲・完途両氏は、平場右手の石の配置が不自然として「この辺りに池泉があったのでは?」とされています。もし、この場所に池泉があると、滝組みがそれよりも北西にあるので『作庭記』の約束事とは逆になります。雪舟作庭の代表作とも言われている常栄寺庭園(山口市)では、『作庭記』に合わせた滝組みの配置を(けっこう無理して)取っているように見えますが・・・。一方、県内で雪舟のお庭と言われている代表としては益田市の萬福寺庭園と医光寺庭園があります。この内、医光寺庭園では西側に滝が組まれていますね。さらに滝組みの上に蓬莱石が置かれている点とか、配置は確かに似ているような・・・。
 私にとってこの大麻山神社のお庭、どの辺が気になるのかと言うと「石に角が無い」と言うことです。だから比較的小降りの・・・でも鋭く尖った、天を突き刺すような石や、逆に上面が真っ平らな石を選んだ萬福寺や医光寺のお庭の石とは全く逆の印象を持っているんです。そもそも尊勝寺は真言宗なので臨済宗の雪舟作庭にはやはり相当無理がある話ですね。

大麻山神社庭園の柔らかい石


 つまり、このお庭の作庭者は、「小堀遠州の関係者でも雪舟等楊でもない誰か」と言うことになりますが、こういった柔らかい石だけを選んで組まれたお庭というのは、県内でもあまり見ない気がします。尊勝寺の真言宗ネットワークの方なのか?それとも・・・。そもそも大麻山神社は阿波国から勧請された神社なのだそうです。それに大麻山自体は日本海交通の重要なランドマーク。広い交流がもたらした、らしくない、石見っぽくないもの。そんなものが作られたとしても、不思議が無いと言うか・・・それが石見っぽいと言うか・・・。
  1. 2012/05/06(日) 12:16:58|
  2. 石見のお庭
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 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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