木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

松江藩のお庭と出雲流庭園(その5)

 その1で名前を挙げた沢玄丹。不昧公が連れてきた?松江藩のお抱え庭師?しばらく忘れていましたが、今回はその沢さんのお話を・・・。
 『出雲流庭園』を記した小口基実・戸田芳樹両氏が沢玄丹の存在そのものを否定していることはその1で書いたとおりです。でも、『日本庭園史体系』では、重森三玲・完途両氏が、沢玄丹の関与を肯定しているお庭がいくつかあります。・・・わたし的には「沢玄丹」と言う一人かどうかはともかく、松江藩なのか庭師さんなのか、沢玄丹の看板を掲げるグループがお庭を造っていた可能性は高いだろうなぁと思っています。
 沢玄丹が関わったかもしれないお庭には康國寺庭園(出雲市国富町)や木佐家庭園(出雲市平田町にあったが現在は旧本陣記念館に移築)の他、峰寺庭園(雲南市三刀屋町)なんてのが言われています。木佐家のお庭は移築なので、難しいから置いておくとして・・・康國寺と峰寺の両者に共通する特徴と言えば???「借景」です!
 松江藩の関与が薄かったり、それ以前に造られたお庭・・・例えば卜蔵庭園や櫻井家庭園(いずれも奥出雲町)、一畑寺庭園などは借景を取り込んだお庭が造られていますが、それ以外には・・・出雲地方では借景を取り込んだお庭が意外に少ない?と言うか、むしろ積極的に背景を遮蔽するお庭が多いですね。巨大短冊石グループであれば、庭園の背後は築地松で背景を完全にクローズのが当然です。
 置いておくと言った木佐家の庭園も、おそらく移築前には旅伏山を借景に取り込んでいたのだろうと思いますが、沢玄丹の名前が出てくるお庭には借景のお庭なんですよぉ。
 さて、康國寺庭園を見てみると、小降りで高い飛石や黒松を植えた低く小さな築山、美しい袖垣など、いわゆる出雲流庭園の特徴と言われる要素がかなり揃い始めている気がします。自然石と切石の沓脱石を並べるとか、短冊石・石臼以外の要素は一通り有りそうですね。一方、峰寺庭園では松江藩が大好きそうな不思議な形の巨大手水鉢が景石に使われています。そう言えば、陰陽石が主景石だったりする旧本陣記念館(木佐家)主庭でも庭の右側には、変な(失礼)形の手水が景石になっています。「玄丹流」と言うべきかどうかは論議のあるところですが、どうやら玄丹流庭園(?)が不昧公のお庭と近代の出雲流庭園(?)をつなげるのかしら?
 さて、
 康國寺庭園はそれはそれは美しい延段で知られていますが、延段そのものを庭の主景に使っちゃう感覚も小堀遠州のお庭や不昧公の露地の延長線上にある気もしないことはありません。ただ、小堀遠州や不昧公のお庭との決定的な違いと言えば・・・延段が斜め・・・。

康國寺の延段

 写真は康國寺庭園(出雲市国富町)です。延段が斜め・・・だからどうだって言うんだ?

 延段が斜め・・・書院から見るから斜めなのであって、中門から茶室に向かうのであれば最短距離を行っている?書院のレイアウトがおかしいのであって、茶室に向かうのについてはこれでよいのか?・・・いろいろ考えさせられます・・・って、沢さんの仕掛けた罠にはまったか?
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  1. 2012/02/18(土) 08:33:50|
  2. いわゆる出雲流庭園
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庭園都市“出雲”・・・なんつって~

お松:ややさん、おっはよ~!まだまだ寒いっつ~のにお庭に通っていらっしゃるようで?昨日はどちらへ?
やや:勝定寺です。大量のツツジや心字池のお庭で有名ですが、古そうな枯山水があるんですよぉ。
お松:勝定寺と言えばツツジ寺。真冬の絶対にツツジが咲いていない時期を狙って見に行くなんて、変態ですね。
やや:誰が変態か?それにお庭好きはけっこう冬に見に行く人がいますよ。
お松:ツツジ寺もそうですが、そう言えば、出雲市内には康國寺のような超有名庭園の他にも、けっこうお庭が多いんですねぇ。この間行った華蔵寺もこぢんまりまりしていましたが、けっこうすてきで・・・。
やや:そうですねぇ。先週行った鰐淵寺では、松本坊は見学できませんが、遺跡になりつつある各僧坊跡にはたくさんお庭がありましたよね。康國寺は鰐淵寺に向かう途中ですし、康國寺からなら旧本陣記念館は目と鼻の先!さらにそこから平田の町へ降りていけば木綿街道・・・ってことは本石橋家や石橋酒造の庭園が・・・なんだかあのあたりは、お庭が集まってますねぇ。
お松:も少し足を延ばせば一畑寺庭園(←やや:団体のみ予約制ですが)、原鹿の豪農屋敷庭園なんてのもすぐに? お~!お庭巡りツアーができそうですねぇ?そうだ!出雲市の観光や町歩き関係の皆様!こんなお庭巡りツアーの企画いかがですか?今ならややさんを付けます!いくらで買っていただけますか?
やや:付けるな!それに売るな!

勝定寺の枯山水

 写真は勝定寺の枯山水です。中央やや右奥に枯滝組み、その下に枯流れが続いています。右端には「枯山水」って書いてあります・・・はぁ。
  1. 2012/02/12(日) 08:10:24|
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松江藩のお庭と出雲流庭園(その4)

 現在、残念ながら公開が中止されている菅田庵の様子は様々な書物に紹介されていますが、昭和45年に刊行された岡田孝男著『松江の茶室』などには図面も掲載されています。古い本なので購入は困難でしょうが、図書館で見ることができる・・・んじゃないかな。
 それによると・・・
 向月亭の前の短冊形に組まれた延段は、短冊形ではありますが、短冊の掛かりが浅いようですね。出雲の多くのお庭で見られる切石の巨大短冊石の、すっかり見慣れてしまった厚い掛かりに比べると相当浅い印象がありますね。巨大短冊石グループで比較的掛かりの浅いものとしては、原鹿の豪農屋敷庭園や出雲伝承館出雲屋敷庭園(巨大短冊石の2トップ)がありますが、向月亭の延段はそれらよりもさらに浅い掛かりです。短冊石の掛かり方については、ものの本には「1/5程度を掛ける」とされていますので、出雲地方の短冊石はすべて掛かり過ぎ!・・・つまり、向月亭の延段は“本来はこうあるべき”とでも言いましょうか、まさに基本どうりの掛かり具合なのです。・・・京都風?・・・ナゼこのイメージが出雲で継承されなかったのでしょうか?・・・不思議ですね?
 京都風と言えば、御風呂屋の北東側、裏手から入る道は瓦を立て埋めた道が造られています。京都の坪庭なんかにあるこういうデザインも、私は大好きなんですが、出雲地方では滅多に見ませんよね。古門堂露地くらいか?
 逆に、菅田庵で特徴的なデザインとしては、延段の竹の縁取りでしょう。これの小規模なものは松江藩主松平家の菩提寺である月照寺(松江市)にもありますね。この青竹の縁は、青々とした竹で縁を組んで、その青竹が次第に茶色く落ち着いてくる色の変化も楽しんだと言うことですが、その後は朽ちていく訳ですから、どう考えても維持・管理は大変そうですねぇ。もちろんメンテナンスフリーのお庭なんてあり得ませんが・・・。
 不昧公~有沢家のお茶室と言えば、もう一つ明々庵があります。茶室明々庵の屋根の形状なんかは菅田庵そっくりです。明々庵自体はあちこち移転を繰り返し、昭和3年から現在地にあるのだそうですが、ここにもすてきな延段があります。ただし明々庵の延段は短冊ではなく1本。青竹の縁も無く、そう長くもありません。どちらも共通しているのは建物と平行に配すこと!

明々庵

 写真は・・・菅田庵の写真は他の人が撮影したものしか持っていないので(え~ん)、明々庵です。
 次回は、誰だっけ・・・え~っと・・・すっかり忘れてた沢さん(ナデスコの人ではない)のお話を・・・。
  1. 2012/02/11(土) 10:15:06|
  2. いわゆる出雲流庭園
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死にかけた話

お松:突然ですが、こんばんは。また、一人でどこぞへお出かけだったようで?
やや:ちょっとそこまで。で、死にかけました。
お松:死にそうなところへ行ってきたんですか?
やや:死にそうなところではなかったはずですが、出雲市別所町の鰐淵寺です。まだ雪があるかなぁ?とは思ったんですが、それはそれなりにきれいだろうなと思って・・・。
お松:鰐淵寺はモミジの名所ですよね。紅葉の時期には何度か行ったことがありますが、お庭もあるんですか?
やや:鰐淵寺には、現在では本坊ぐらいしか残っていませんが、たくさんの僧坊跡があります。そうした僧坊跡には庭園跡が残されているところがあるんです。
お松:へ~。雪の庭園ですか?それはさぞかし・・・
やや:いえ、それが中途半端に溶けていて、足下が悪いだけでした。
お松:鰐淵寺と言えば、滝の中にお堂が建っている、なんかすごいのがありましたよねぇ。
やや:浮浪の滝に建つ蔵王堂のことですね。それも撮りに行こうとしたんですが、冬の間は特に水量が少なくって、あまり迫力が無くって・・・しかも死にかけたし。
お松:浮浪の滝に落ちて、死にそうになったですか?
やや:そ、それはすごい、って~か、あり得ないだろ?違います。鹿です。
お松:鹿?鹿におそわれたんですか?
やや:浮浪の滝に向かう、崖にへばりつくような狭い山道を、一人で歩いていたら、すぐ上にでっかい雄鹿がいて!鹿もびっくりして、あわてて跳ね飛んで逃げようとしたもんだからバラバラと落石が。つま先に1個当たっただけだったのでケガはしませんでしたが、本当に真上で石を落とされていたらやばかったかも・・・。
お松:しかも鹿ですか?
やや:そこで、つまんないギャグかましますか?

是心院の亀島と鶴翼石


 写真は、是心院東庭の亀島と鶴翼石・・・て、写真悪すぎ!春になったら撮り直しに行きます。是心院跡には北庭にも枯滝組みを配した池泉があり、軒下に飛石が組まれるなど、いろいろおもしろいお庭です。参道のすぐ脇なので、行きやすく、間違えにくい所にあります。
  1. 2012/02/05(日) 18:55:44|
  2. お松との会話
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松江藩のお庭と出雲流庭園(その3)

松江のお茶、松江のお庭と言えば、松江藩主松平家第7代松平治郷公。松江では不昧公と呼んだ方が名が通っていますよね。
 さて、不昧公のお庭と言えば大崎園!江戸大崎の松江藩下屋敷に作られた広大な庭園群があったはずでしたが、もちろん現在は見る影もなく・・・池田家の手に渡り、その後は台場になって・・・。いくつかの絵図や規模を縮小した後の鳥取藩池田家下屋敷の絵図などが知られていますが、これらを見てみると少なくとも大名庭園にありがちな大規模回遊式庭園ではない事がすぐに判ります。谷文晁の大崎園真景(写し)などを見ると、茶室、そして敷砂に延段、飛石が目に付く空間だと言うことが判ります。どうも「敷砂」、「延段」、「飛石」と言うキーワードは大崎園からも出てきそうな気がします。
 松江界隈の不昧公が関わったお庭では、家老有沢家の別邸である菅田庵が有名です。待合に風呂があるなど、気持ちよさを追求している一方で、特別派手な演出が感じられません。シンプルに茶室に向かおうとしているように感じます。その菅田庵の中にある向月亭は不昧公の弟である瓢庵が設計したと伝えられていますが、両側に青竹を置き、短冊形に組まれた延段の美しさで知られています。
 さて。菅田庵は残念ながら近年は公開が中断されているようですが、ぜひ再開して欲しいものです。

 不昧公が作庭に関与していなくても、不昧公が招かれたお庭や露地がいくつか知られています。例えば、普門院(松江市)の観月庵や清水寺(安来市)の古門堂露地などが有名ですね。もちろん巨大短冊石は見られません。古門堂露地にはシンボルともなっている軒丸瓦を使ったすてきな延段がありますが、やはりここでも延段・飛石がキーワードになってくると思います。
 飛石はどこにでも有るものなので、小降りとか高いとかがそんなに特徴的とも思えないのですが、長い延段はさすがに目に付きますね。不昧公垂涎の小堀遠州がお庭に持ち込んだ人工的な線。そんなものの影響でもあるのでしょうか?でも、小堀遠州のお庭では、頼久寺でも孤篷庵忘筌でも、直線的な延段や飛石は座ってしまえば見えない位置に置かれています。延段の美しさを見せようとする向月庵やその他の出雲のお庭とは少し違うような気もします・・・。

古門堂露地の延段


 写真は清水寺(安来市)蓮乗院、古門堂露地の軒丸瓦の延段
 歩くのも申し訳ない美しさ・・・。でも、出雲っぽくはないデザインですよね。
  1. 2012/02/04(土) 08:37:21|
  2. いわゆる出雲流庭園
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やや

Author:やや
 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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