木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

雪舟を探して(その3)

 雪舟のお庭・・・いろいろ調べています。雪舟は画聖と言われる程の人なので、そっちの方の研究は山ほどありますが・・・。その一つの到達点としては『雪舟等楊-「雪舟への旅」展研究図録』があります。これは2006年に山口県立美術館で開催された『雪舟への旅』展のための研究をとりまとめたもので、長年にわたって調査研究を行ってきた山口県立美術館・雪舟研究会の研究成果の集大成です。・・・が、もちろんお庭に関する記載はほとんどありません。
 さて、しつこいようですが、作庭者としての雪舟の研究はほとんどありません。その中で白石直典『雪舟の庭』西日本新聞社2000年は、伝雪舟作と言われる多くの庭を、実際に氏が見て歩いて書かれた大変な意欲作です。で、雪舟作と言われている庭園は、氏の集計では京都府1、山口県16、福岡県9、大分県7、島根県4、広島県3なのだそうで・・・ずいぶん多いですね。ですが、氏の考察ではほとんど全滅・・・作庭に雪舟の関与が無いものが多いとされていて、例えば雪舟庭と古くから言われている英彦山周辺に点在する伝雪舟庭園は全滅なのだそうです。
 島根県4と言うのは・・・益田市の萬福寺庭園と医光寺庭園はすぐに判りますが、それに江津市の小川家庭園と・・・浜田市三隅町の大麻山神社庭園・・・。大麻山神社庭園は、遠州流(小堀遠州の弟子が作庭した?)とも紹介された事もあり、もはや適当としか言いようがない扱われ方をされているお庭ですが、要するにナゾが多すぎるお庭、と言うことでしょう。
 さて、京都東福寺の芬陀院庭園も雪舟作ではない(私も賛成)とされる氏の論考を読み進めていると・・・やはり問題は、作庭者とは「どのような関与の場合を言うか?」ですね。つまり、お庭を作ろうとした発起人なのか?デザイナーや設計者なのか?はたまた実際に石を据えた人なのか?・・・例えば、西芳寺の庭をトリートメントしたと言われる夢窓国師は、実際に石を据えたはずもなく、ましてや慈照寺を造った足利義政は、お庭の設計にもどれほど関与しているのでしょうか?
 雪舟自身は、とっても自己顕示欲の強い人だったようで、親友の了庵桂悟や呆夫良心が記した二つの「天開図画楼記」も、雪舟自身が語った話が記されていると思われますが、鳴かず飛ばずの京都時代は全くふれられず・・・でも、明での話は「絵はあったが画家はいなかった」と豪語するほど!もしも、雪舟が積極的にお庭作りに関与した事があったのなら、「どこそこのお庭は雪舟が作らせた・・・」と記させたと思うのです。その辺が小堀遠州とは違うところ!
 ところで、前出の白石直典氏は「山口の常栄寺庭園、常徳寺庭園、そして益田の萬福寺庭園について、雪舟らしい心景を見いだした」とされている。心景を見いだされたようですが、作ったかどうかは・・・う~ん。例えば、萬福寺庭園は雪舟が「富士清見寺図」を見せて、それを元に作られたとされていますが・・・。絵とお庭の様な全く異なる対象に似ている、似ていないは、私には全く判断がつきません・・・。

たぶん雪舟のお庭ではない大麻山神社庭園


 写真は、たぶん雪舟作ではない大麻神社庭園・・・最近、お庭を見に行ってないもので・・・。
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  1. 2012/07/21(土) 18:47:48|
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鰐淵寺のお庭、そして入山料

近くと言うことで、時々見に行って(お寺的には、お参りして)いた鰐淵寺・・・。この冬には、鹿に蹴られそうになったりした鰐淵寺・・・。久しぶりに、ふらっと出かけてみると、え?入山料の張り紙が!え?いつから?という感じですが・・・入山料500円ですか・・・。
 境内は、以前と特に変わっているところはなく、脇へそれると人が歩いていないので苔生して滑る石段と、草ぼうぼうの僧坊跡が静かに迎えてくれます。変わったことと言えば、帰りにご住職がお茶(お番茶)を出してくれたこと。地元のお茶と言うことですので、唐川茶ですね。
 入山料・・・ぶっちゃけて言えば、チケットの印刷費ともぎりの人件費(と、それにお茶代)でおそらく赤が出ると思うのです(でも、実際、無料施設には団体客が来ないと言うややこしい現実もあります)。入山料を取ると言うことが、鰐淵寺にとって良いことなのか?悪いことなのか?・・・短期的にはおそらくマイナス。でも、中長期的にはプラスに・・・なって欲しい。
 鹿に蹴られた(蹴られてないって!)時にも書きましたが、鰐淵寺には、たくさんの僧坊跡が遺跡となりつつあって、その僧坊跡のほとんどに庭の痕跡が残されています。また、非公開ですが、松本坊にはすごいお庭が維持されているそうです。
 鰐淵寺は紅葉の名所として11月には大混雑しますが、他の季節には・・・特に真冬なんかは鹿が出るくらい(←根に持っているらしい)なのですが、本来そうであったように、紅葉の時期だけでなく、四季折々の美しさを楽しめよう、維持管理していっていただきたいものです。

現成院跡の手水鉢


 写真は、草木に埋もれてひっそりと佇む、現成院跡の手水鉢。
  1. 2012/07/01(日) 18:59:51|
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 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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