木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

まだ寒いのに鰐淵寺に行ってみた

 出雲市別所町にある鰐淵寺です。鰐淵寺は、安来市の清水寺と共に平安時代から続く出雲有数の大寺院で、出雲の国第1の伽藍とまで言われたこともあったと伝えられています。最盛期には80以上もあったとされる塔頭群は、山中のあちこちにその痕跡を残し、武蔵坊弁慶にまつわる伝承を伝え、神仏習合の時代には出雲大社の別当寺として存在感を放った大寺院です。
鰐淵寺の参道
 現在でも紅葉の名所としても知られ、シーズンにはごった返すそうですが・・・まだ肌寒いこの時期には、・・・見事に誰もいない・・・静かな山寺です。
 建物を失った僧坊跡では、遺跡と化したお庭の残骸が見られるのですが、今日はそれは置いておいて・・・。境内の中央奥には根本堂、釈迦堂を始めとするいくつかの建物が建っています。今日、紹介するのは鰐淵寺の中心である根本堂です。
鰐淵寺根本堂
 鰐淵寺根本堂です。美しい檜皮葺に朱塗りの巨大な建物である根本堂は、現在では前2間分が吹き抜けになっていますが・・・扉の痕跡や、貫がふさがれた跡が残されています。おそらく、前面まで床張りがあったと思われますが、いつの頃か床や壁が外され、本来の形状から変わっているようです。江戸後期とされる絵図では、すでに吹き抜けに描かれていますので、吹き抜けに改造されたのは江戸後期以前と言うことでしょう。
根本堂の柱
 修験の寺である鰐淵寺は、当然、山中に立地しており、そのため、地滑りなども見られるようです。根本堂も前面の基壇に修理の痕跡が見えていますね。

お松:出雲市街地は、少しだけ春めいてきましたが、鰐淵寺まで来るとさすがに雪が残ってますね。寒い・・・。それに、この時期は人が少ないですねぇ。何年か前の紅葉真っ盛りの時に、一度だけ行ったことがありましたけど、そう言う時期にはややさんは近づきませんものねぇ。
やや:何で、紅葉なんかを見るのに渋滞を我慢しなければならないのか?まったく理解できません。
 それはともかく、近世に遡る非常に大きなお堂で、釈迦堂や摩陀羅神社など古く立派な複数の堂宇が並んでいるようなお寺なのに、紅葉シーズン以外は参拝者が少ないなんて、もったいないですよね。
お松:確かにそうですよねぇ。でも、それで多くの参拝者が訪れるようになると、ややさんは来たがらなくなりますよね。
やや:う?・・・確かにそりゃ・・・。
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  1. 2014/02/23(日) 17:33:51|
  2. 屋根フェチの小部屋
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美保神社の御祭神は・・・

 島根半島の東の先っぽ、美保関にある美保神社は、オオクニヌシの御后神であるミホツヒメノミコトとコトシロヌシノカミが御祭神とされています。コトシロヌシは後にエビス様と同一視されるようになります。コトシロヌシはオオクニヌシの御子神で、『古事記』に描かれる「国譲り」の時のキーマンの一人。国譲りを迫るタケミカヅチの使いであるアメノトリフネが御大の前(みほのさき)に向かった時、コトシロヌシは釣りをしていたとされています。釣りを楽しむコトシロヌシの姿が、釣り竿と鯛を抱いてえびす顔のエビスさまと同一視されるようになったのでしょうか?
ところで、
 『古事記』『日本書紀』に描かれる「国譲り神話」は、地元出雲で記されたはずの『出雲国風土記』には見えません。また、『出雲国風土記』の「島根郡条」に記される「美保郷」の説明には「御穂須々美命(ミホススミノミコト)、是の神坐します。故、美保と云う。」とあって、ミホススミノミコト(=ミホツヒメノミコト?)が坐すとありますが、コトシロヌシの名前は出てきません。つまり、美保神社は、ミホツヒメを御祭神とする神社だったのが、『古事記』に合わせ、コトシロヌシが加えられたとも想像されます。
 ただ、現在では「諸手船神事(もろたぶねしんじ:アメノトリフネの使者が来たことを伝える神事)」や、「青柴垣神事(あおふしがきしんじ:国譲りを決断したコトシロヌシが海中の青柴垣に隠れた事に由来する神事)」で知られる神社で、また全国の「ゑびすさま」の総本社となっているのです。
美保神社拝殿
お松:『古事記』と『出雲国風土記』って、時々食い違うんですね?
やや:食い違っている訳ではありません。現代人の我々に理解できない何かは無いでもありませんが、それぞれに様々な事情で執筆されたのであって、執筆者ご本人達にとっては、おそらく何の疑問もなく。美保神社でも、何の問題もなくミホツヒメノミコトとコトヌシノカミを御祭神として祀っておられるんだと思います。
後ろから見た美保神社の御本殿
お松:それで良いんですよね。ただ、へそ曲がりのややさんとしては、そのあたりがおもしろいと?
やや:ふ、ふ、ふ。それに、様々な神話や歴史、島根半島の先端というロケーションに、美保造りの社殿・・・。
お松:美保神社、たまりません!
やや:先に言うな!
  1. 2014/02/22(土) 18:26:13|
  2. 神話の足跡探し
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いつものお庭

 予想に反して天気が回復したので、ふらっとお散歩。出雲大社へ行ってきました。
出雲大社の本殿
 真冬の2月だって言うのに、観光客の喧噪が止まない出雲大社の拝殿周辺を、ほんのわずか、ほんのわずかにそれ、小さな川をひとつ渡ると北島国造館・・・ここまで来るとずいぶん静かになります。
 ここのお庭は、亀の尾の滝が落ちる池と、ナゼか南国ムード満点の巨大な蘇鉄が・・・。池の中島にはオオクニヌシと共に国造りに励んだ小さな小さな神様、スクナヒコナを祀る天神社があります。
天神社
 『古事記』に記されるスクナヒコナは、突然やってきて、国造りの真っ最中に、またまた突然、常世国へぶっ飛んで行ってしまう神様。その伝承地は、出雲以外の地域に多く、・・・そもそも出雲の神話ではないのでしょうか。『古事記』に無理矢理挿入されたようなストーリーですが、ヒキガエルにカカシのクエビコ、登場する神々も楽しさ満点の、それこそ出雲っぽくない展開が大好きな神様です。

お松:久しぶりにお庭ですね。もう、やめちゃったのかと思ってましたが。でも、話は神社で神話なんですね。お庭の話題じゃない!
やや:う~ん。本当にいつものお庭だし。あまり、お庭そのものにつっこんだ話題もないし・・・。あ~どっか行きたい!
お松:そろそろ梅の花が咲き始めましたね。どっか行けるといいですね。
  1. 2014/02/16(日) 18:56:06|
  2. 出雲のお庭
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美保神社の折舵

 明治29(1896)年、京都府加佐郡岩瀧の寶榮丸は、水晶(?!)と但馬牛を積みウラジオストクへ向かう途中、能登沖で暴風により舵を破損し漂流し始めた。船員たちが美保大神に祈ったところ、波間に大鯛(?!)が現れ、その大鯛に導かれ、なんとか美保関にたどり着いたという・・・。
美保神社の折舵
 美保神社の回廊下には、奉納された折舵が置かれ、その経緯を記した説明版が立っています。
美保神社の回廊
さて、明治29年の宝永丸は和船だったようです。以前は、和船は西洋帆船に比べ、速力や向かい風の時の性能に劣るとされていたようですが、近年の復元船による航海実験では、さほど劣るものではないことが判ってきつつあるようです。ただ・・・和船の欠点は舵。船体に対して舵がでかい。つまり舵が効きにくい構造のようです。小さな舵では効かないので、巨大な舵を使うのですが、この抵抗の大きな巨大な舵は、悪天候時にはウィークポイントになります。幕末から明治の遭難記事を紐解くと、舵の損傷による遭難が多くの割合を占めているようですね。
みちのく丸
お松:幕末から明治の船って、北前船なんかみたいに、当時の物流の中心ですよね。こういう事に対策は取られなかったでしょうかねぇ。
やや:幕府からは、慎重に気象を読むようにと、お触れが出たりしているそうですが、船そのものへの対策は進まなかったようですね。一説には、幕府の鎖国政策により、容易に海外へ渡航できる船を造らせたくないと言う思惑もあったんだとか・・・。
お松:う~ん、それはまた・・・。

 画像は、2011年夏に島根へもやってきた「みちのく丸」です。
お松:・・・帆は?
やや:帆走しているところを見たかったぜ。
お松:その一言で終わりですか?
やや:・・・す、すまん。
  1. 2014/02/15(土) 17:21:50|
  2. ネタ切れにつき在庫処分
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加賀神社の茅葺き屋根

え~、加賀の潜戸(くけど)の続きです。
 佐太大神か支佐加比売命か、『出雲国風土記』のこの部分の主語が判りませんが、とにかく、どちらかが放った矢は岩をつんざき、加賀の潜戸と呼ばれる海食洞穴をぶち抜いた・・・と伝えられています。『出雲国風土記』によれば、その潜戸の中に支佐加比売命を祀る社があったはずですが、現在は、加賀の町に加賀神社があり、そこに佐太大神の母神である支佐加比売命が祀られています。
加賀神社の拝殿
その拝殿は、檜皮葺の立派な建物で、後方には流れ造りの御本殿があるのですが・・・。
拝殿の檜皮葺
拝殿が檜皮葺で本殿が茅葺き!大社造りではなく流れ造りと言うのも出雲っぽくないですが、茅葺きの御本殿も出雲地方では多くはありません。
加賀神社の御本殿
お松:茅葺き屋根って、ややさん、大好きでしょ?
やや:まったくです、たまりませんね。でも、なんで、茅葺き屋根で流れ造りなんでしょうね?
お松:それを聞こうと思ったんですが・・・。
やや:知りません。
お松:確か隠岐の神社・・・玉若酢命神社なんかは茅葺き屋根でしたよね。
やや:茅葺きですが、隠岐造りと呼ばれる建築で、大社造りと同じ妻入りです。加賀神社のような平入りではありません。こういう神社が他にもあるのか?注意して見たいと思います。
お松:ところで、今回はオチは無しですか?
やや:今回は、いろいろとナゾのまま終わるのでした。
お松:え~?そんなんで良いんですか?
  1. 2014/02/08(土) 19:02:49|
  2. 屋根フェチの小部屋
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神話と神社と・・・

お松:さて、気がつけば2月。早いですねぇ。
やや:1月は行く、2月は逃げるなんて言いますもんね。
お松:で、今年に入って、お庭の話題0!
やや:げ!
お松:もう、お庭は語らないんですか?なんだかすっかり神話と神社のブログになっちゃいましたね。
やや:う!
お松:まぁ、なんだか楽しそうなんで良いか?
やや:そ、そうですよね。
お松:そろそろ、カテゴリ立てちゃいますか?これを読めば、あなたもへそ曲がり「神話をナナメ読み」とかどうです?
やや:へそ曲がりは余計だけど、ナナメ読みは良いかも・・・。
お松:ほ、ほう。次回はついに新カテゴリ始動。そして、いよいよお庭との決別です。
やや:いや、別に決別はしないって。ちょっとネタがないだけです。


美保神社本殿
画像は、コトシロヌシを祀る美保神社の御本殿。2つの大社造りがくっついた独特の社殿です。コトシロヌシは後に恵比寿さんと同一視されますが、恵比寿さんは耳が遠かったのだそうで、そのために大きな音のする様々な楽器類が奉納されているのだそうです。
美保神社の太鼓
で、太鼓です。
  1. 2014/02/03(月) 20:00:16|
  2. お松との会話
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加賀の潜戸

松江市島根町の加賀には加賀の潜戸と呼ばれる海食洞穴があります。
加賀の潜戸
 『出雲国風土記』「島根郡条」にれば佐太大神の生まれる話が語られています。生まれた大神(読み方は諸説有り、主語は不明)は、洞窟が暗いと、金の弓箭(きゅうせん:弓と矢)で、岩を射通してしまったと伝えられます。で、その穴は「加賀神埼即有窟高一十丈許周五百二歩許東西北通」なのだそうで、さらに「枳佐加比売命の社、此の処に坐す」とあり、大神の母であるキサガヒヒメの社があるとされています。・・・夏場には観光船で入ることもできるその海食洞窟を・・・遠くから見るだけ。(←お松:逆光で、しかも霞んでますね)

 さて、弓箭で射通された先にはもう一つ、穴の開いた岩があります。「OKの岩」とか「デコピン」とか、みんな、いろいろ言っていますが、どうでしょう?
OKの岩
お松:象みたいに見えないことも・・・。

 この佐太大神。佐太神社(松江市鹿島町)の御祭神なのですが、近代に入ってからは、天孫降臨の時に邇邇芸命(ににぎのみこと)の道案内をした猿田彦大神と同一視されています。その佐太大神と猿田彦大神の関係って・・・神話の整理の過程をかいま見ているのでしょうか・・・。

 おまけ、
漂着ゴミ
 海岸を歩いているとイヤでも目に付くのが漂着ゴミ。その全てが不法投棄されたものではないと信じておりますが、なんとも・・・。それはさておき、そんなゴミの中にはハングル文字の入ったものを見つる事ができます。それも・・・かなり多くの割合で・・・。
 ここから彼の国を見ることはできませんが、この海の対岸はそうなんだなぁ~って思う瞬間でもあります。
  1. 2014/02/02(日) 08:05:36|
  2. お庭でひとりごと
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プロフィール

やや

Author:やや
 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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