木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

毛志山(もしやま)と虫野神社

 最近、頻繁に登っている澄水山(しんじさん)は、『出雲国風土記』には、「毛志山(もしやま)」と記されています。また、その麓には、虫野神社(『出雲国風土記』では虫野社)が鎮座しています。『出雲国風土記』島根郡条の神社記載に脱落があるのは何度も紹介している話ですが、おそらく、オリジナルにも虫野社は記されていたはずです。
 で、虫野社のムシは、毛志山のモシに通じますので、本来は毛志山に降りる神様が虫野社だったと想像されます。
虫野神社

 現在は、立派な社殿が建っていますが、奈良時代の神社は、その多くに社殿が無かった可能性もあり、このブログでも度々紹介している巨石などが神社であった場合もあるようです。なので、虫野神社も、奈良時代には社殿は無かった可能性があるのですが・・・。坂本から澄水山への登山道を登っていくと・・・
澄水山の巨石

お松:巨石ですな。
やや:巨石だすぅ。
 この山。そもそも岩山だったようで、坂本からの登山道沿いには、あちこちでこうした巨石を見ることができます。中でも、これは最大級。巨石の下には、一丁地蔵が置かれていますが、古代に遡れば、もっといろいろあったかも。
お松:これが神社だったんでしょうか?
やや:これそのものかどうかはわかりませんが、つまり、虫野神社には、元々は社殿が無くって、澄水山=毛志山にあった、こんな巨石に降りる神様が虫野社として祀られた。と言うことなのだろうと思います。『出雲国風土記』には、海の島に関しては、ちょっとした岩にすぎない小さな島までしつこく記載されていますが、山の記載は、そう多くはありません。逆に考えれば、『出雲国風土記』に記載される山は、信仰の対象だったのかなぁ、とも思えるんです。
お松:ふ~ん。でも、その神様の降りる山が、仏教の澄水寺になったって事は?
やや:神様が降りるような聖なる山だからこそ、山林修行の場に選ばれたのでしょう。それが、後に発展して澄水寺になったのだと。
 明治政府によって神仏分離が行われる以前は、神道と仏教はそれ程厳密に分かれていた訳でもなかったようです。これを話しだすと長くなるのでやめますが、特に中世では、元々は同じものって言う考えもあり、意外と同居していた状況もあるようです。

おまけ
虫野神社の狛わんこ
虫野神社の狛わんこ

お松:ずいぶん前から、ここにいらっしゃるんでしょ?そのあたりの事情をご存じないですか?
やや:さぁ?どうなんだろうね~っと、遠くを見る。
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  1. 2016/03/21(月) 17:15:56|
  2. プチ巨石ブーム
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御手洗の滝と瀧観音堂

 相変わらず山寺で修行中です。澄水寺跡のある澄水山(しんじさん:507m)には、前回は中海側から登ったのですが、今回は日本海側から目指します。佐太大神が矢で岩をぶち抜いちゃった加賀の潜戸(くけど)のある加賀の港からちょっと先、加賀別所の集落のさらに奥に続く林道を、行けるところまで車で行って、そこから山道をしばらく歩くと・・・。
御手洗の滝

 御手洗(みたらい)の滝!です。
お松:お手洗いの滝!
やや:正解!旧島根町が刊行した『島根町誌』によると、峠を越えてやってきた神様が手を洗われたので御手洗の滝だという伝承があるのだとか・・・。
お松:じょ、冗談が冗談にならない・・・。
やや:とにかく、出雲で最も有名な山寺の一つである鰐淵寺(がくえんじ)は、最初は「浮浪の滝」を中心とした信仰だったことが解明されつつあります。当然、この澄水寺跡も御手洗の滝の滝行とかが始まりだった可能性が高いんです。ちなみに鰐淵寺の山号は、浮浪山(ふろうさん)鰐淵寺。澄水寺の山号も不老山(ふろうさん)澄水寺。
お松:お、おなじ?
やや:澄水寺が鰐淵寺に倣った可能性はありますが、少なくとも他人のそら似じゃなさそうですね。
 で、この御手洗の滝の近くには、瀧観音堂と呼ばれる小さなお堂が残されています。
瀧観音堂

お松:本当に小さな小さなお堂ですね。
やや:このお堂自体は、戦後になってからの建て直しのようですが、結構広い平坦面が残っていますので、それなりのお堂が建っていたはずです・・・が、それは発掘調査でもしてみないとわからないので・・・。
 さて、その先の道を山頂へ向けてしばらく登ってはみたのですが、途中で・・・どう見てもケダモノさんたちだけの道になっちゃって・・・。どこで間違っただろう・・・ちっ、今日のところは、これぐらいで許してやる!って、捨て台詞を残して引き返してきました。
お松:確か、前回もけもの道をムリヤリ登ったんじゃ・・・きっと、近いうちに遭難しますよ・・・。
  1. 2016/03/20(日) 18:29:40|
  2. 山寺で修行中
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すっかり春になったようで

お松:こにゃにゃちは~!
 さて、修行などというストイックな響きのある言葉は、すでに似つかわしくないほどの病的なペースで山寺巡りを続けるややさんですが、今日も登ったの?
やや:澄水寺跡のことですか?今日は登っていません。ただ、予想外に晴れたので、車でびゅ~んって行ける華蔵寺に行ってきました。
華蔵寺から見た大山・中海

お松:お~!大山のアップ!さすがにしっかり雪がありますね。手前は中海に浮かぶ江島?ってことは、この左端に小さく見える橋が「ベタ踏み坂」?ぜんぜんベタ踏み坂っぽくないですね。
やや:そりゃそうだ。望遠効果でタテにぎゅっと縮めて、すんごい坂に見せてますが、本当にベタ踏み坂だったら、大変じゃないですか?
華蔵寺の不動明王

お松:車でびゅ~んって行ける華蔵寺は、件の澄水寺の隣の山でしたっけ?
やや:間に三坂山ってのがありますが、お隣みたいなもんです。この華蔵寺は、元々は天台宗の山林修行のお寺で、盛時には十二坊があったと言われていますが、鎌倉時代頃にはやや衰え、正安年間(1299~1301)に臨済宗の禅院として再興。近世に入ると松江城の鬼門に当たると言う事で、松江藩の保護を得て栄えています。寺伝では、澄水寺の僧徒と闘争したこともあったのだとか。
華蔵寺の石段

お松:なんだか、よくわかりませんが、中世頃?その頃には、今では想像もできないくらい山寺だらけだったって事ですか?
やや:そうみたいですね。その辺を勉強中です。

おまけ
澄水寺の一丁地蔵は、長年の風雨で摩滅して、お地蔵さんであることがわかるだけの一丁地蔵でしたが、西隣の小倉寺跡の一丁地蔵はこんな感じ。一丁と記されていますので、あと約109mで小倉寺です。
小倉寺跡の一丁地蔵

 文化十一(1814)年ですので、江戸時代の終わり頃に置かれたようですね。ヨーロッパではナポレオン戦争の終盤近く。日本近海にはロシア船やイギリス船が出没。歴史がそわそわし始める直前・・・。

お松:あの~。確か、今日は山には登っていないって言ってたくせに、しっかり登ってるじゃないですか?
やや:あ、いや、お・小倉寺跡は、それほど山寺ってほどの山ではない山寺で・・・。
お松:なにを言っているのか、さっぱりわかりませんが?
  1. 2016/03/12(土) 19:03:56|
  2. お松との会話
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なんだか春めいてきたので、登ってみた

 急に春めいてきて、快晴。天気予報は・・・今日は晴れ。でも明日は雨。い、行くしかない!
と、言う訳で、念願の澄水山へ登ってきました。目的はもちろん澄水寺跡。とは言っても、すでに100年も前に廃寺となってしまっているので、何が残っている訳でもないのですが・・・。
麓から見た澄水山

 標高約500m。登り始めてすぐに後悔。そもそも選んだ道が大間違いで、イノシシ以外は歩いた形跡すら無い道。もうちょっとだけがんばって何も無ければ引き返そうと思ったことも2度や3度ではなく・・・今さら、引き返すことすら困難な・・・。けれど、一歩一歩、重力に逆らって体重を移動させること約1時間。何とか、正しい登山道に合流。イノシシではない、はっきり人の歩いた形跡がある道をしばらく行くと目的地。う~ん、人ってすばらしい!(←お松:その感想、たぶん、間違ってる。)
澄水寺の参道

 山頂からは、本来なら、北に日本海、南に中海の大パノラマが展開するはずですが、しっかり春霞で、たいしたものは見えず・・・。
お松:だ・は・は。ところで、何しに行ったんでしたっけ?
やや:だからぁ、明治初めに廃寺になった澄水寺跡を見に行ったんです。見つけたものは、いくつかの一丁地蔵と古い墓石だけですが、資料に記された位置関係がわかってきました。
苔むした一丁地蔵

お松:ずいぶん前から大騒ぎして、やっと登れて良かったですね。山寺での修行も、これで一段落?
やや:うんにゃ。まだまだ登るぞ~!
  1. 2016/03/05(土) 17:16:46|
  2. 山寺で修行中
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Author:やや
 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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