奥出雲町の鬼舌震(おにのしたぶる)です。一般的には鬼の舌震い(おにのしたぶるい)と呼ばれる景勝地です。斐伊川の支流、大馬木川に巨石・奇岩がごろごろと転がり、急流がごうごうと音を立てて流れる光景は迫力満点。さらに近隣の鉄山師が残した山林は、秋には美しく紅葉します。

古い遊歩道があったのですが、近年になって吊り橋やバリアフリー遊歩道が整備され、紅葉の季節には、見学者も増えています。

さて、この鬼舌震なる名前は、そもそもは、奈良時代の地誌でる『出雲国風土記』の仁多郡条に見える記載が元になっています。それによると・・・
「恋山(したいやま)。郡家の正南二十三里にある。古老が伝えて言うには、和爾(わに)が阿伊村にいらっしゃる神、玉日女命(たまひめのみこと)を恋慕って、川を上ってきた。その時、玉日女命が石で川を塞いでしまわれたので会うことができないまま慕っていた。だから恋山(したいやま)と言う。」

和爾(サメ?)が玉日女さまを恋慕って来たけれど、玉日女さまが石で川を塞いでしまった。だから和爾は、恋慕って慕い山。
それが、江戸時代になると、この辺りの山は志多布留山(したふるやま)と呼ばれたことが判っており、「玉日女さまに会えなかったワニは舌を震わせて退いた」と言う伝説に変化しており、それ以来、「和爾」が「鬼」に変わり、「舌震」が「舌震い」となったようです。
その玉日女さまを祀る社が鬼舌震の遊歩道沿いにあります。それは小さな小さなお社で、巨石を投げて川を塞いだ怪力の持ち主と思えない奥ゆかしさです。
お松:和爾も恋慕う、可愛らしい女神様です!
やや:ところで、この和爾は、ハンマーヘッドシャーク・・・つまりシュモクザメと考える研究者がいるようです。
お松:わざわざ、ハンマーヘッドとか言わなくてもいいのに・・・。で、シュモクザメではないんですか?
やや:現在でも、海から遠く離れた中国山地の三次市周辺などでは鰐(わに:サメ)料理が名物となっています。冷蔵庫のなかった時代、腐りにくいサメは、海から離れた山間部でも食べられていたようです。
お松:じゃぁ、シュモクザメでもいいじゃない?
やや:食べてた切り身のシュモクザメが恋慕って?
お松:・・・。
やや:淡水の大馬木川をシュモクザメが泳げるはずがない!と言う研究者(特に生物学者)もいます。で、アシカ・・・絶滅した日本アシカではないかと・・・。アシカなら、淡水でも平気なんだとか・・・。
お松:アシカなんですか?
やや:大馬木川に転がる巨石や奇岩が、伝説のモチーフなのは、きっとそうなんでしょう。で、和爾がシュモクザメかアシカか、それともまさかのアリゲーターなのか、それは・・・。
お松:それは?
やや:ど~でもいい!だって、神話なのだもの!
お松:また、つまんない結論になってしまいました・・・。
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- 2016/11/13(日) 18:29:45|
- 神話の足跡探し
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こんばんは。
ここでは、和爾も舌を震わせるほどのすごい水音がしますよ。
ここは、国指定名勝ですので、巨石・奇岩を極力傷つけないよう、様々な規制のなかで、工事が行われたようです。遊歩道も、柱で持ち上げられ、地面をほとんど掘らずに設置されています。
コメントをありがとうございました。
- 2016/11/14(月) 19:28:23 |
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- やや #YgKj3tPc
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