木を見て庭を見ず

出雲・石見を中心に、歴史的なお庭と屋根と神社仏閣を見て回って、ひとりごとです。

神の降る山

 大雪も一段落の出雲地方です。
 大雪直後の晴天に放射冷却の出雲地方は極寒。宍道湖にも薄氷が張るほど。打ち寄せる波で護岸に打たれた杭もご覧のありさまでした。
先日の宍道湖

さて、
 『続日本紀』によれば、和銅六(713)年、国毎にその土地の様子を報告するよう命令が出されています。後に『風土記』と呼ばれるその報告書は、日本全国の国が提出しているはずで、つまり、当時の国の数と、国に残された控え、下書きなどのプラスアルファがあったはずですが、1,300もの年月を経て、そのほとんどが散逸してしまいした。
 なので、奈良時代の原本はまったく残されていませんが、写本という形でかろうじて残されているのが常陸・播磨・肥前・豊後、そして出雲の5風土記です。しかしいずれも脱落した部分があり、ほぼ完全な形で残されているのは『出雲国風土記』だけだと言われています。
 「ほぼ完全な」・・・。「完本に近い」・・・。そうした形容詞で呼ばれる『出雲国風土記』ではありますが、「ほぼ」とか「近い」と付いている以上、完全ではありません。中でも、「島根郡条」には脱落や誤写が多く、そのために様々な問題を残しているのですが、「島根郡」の隣の「秋鹿郡」も、いろいろ微妙な問題を残していることで知られています。

 前にも一度紹介しましたが、『出雲国風土記』には、4つの神名火山=神の降る山が記されているのですが、この内の一つ、秋鹿郡の神名火山は、その山がどれなのか確定していません。
 秋鹿郡の神名火山は、一般的には朝日山(標高341m)だと言われることが多いのですが、『出雲国風土記』を素直に読めば、「その山の麓」に佐太神社があるようにも、「高さ四十丈(約120m)」しか無いように思えないのです。このため、近年の研究では、佐太神社の背後にある小さな山が神名火山では?と言う説が説得力を持ち始めています。
 しかし、ぱっと見、それがどの山かわからないような山を、神名火山として『出雲国風土記』に載せるのでしょうか?それ以前に、神の降る山は、もっと神々しく、存在感のある山であるべきではないのか・・・。古代の人の感覚を無視した、個人的な願望に過ぎないかもしれませんが・・・。
大雪が止んで、一気に晴れて、で、すんごく冷え込んだ朝。朝日山を見に行ってみました。
霧に浮かぶ朝日山

 霧に浮かぶ朝日山は、神の降る山にふさわしい神々しさと存在感を持って、そこにあったのですが・・・。
  1. 2018/02/11(日) 21:19:33|
  2. 神話の足跡探し
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雪の城山稲荷神社

 今週の出雲地方は冬一番の大寒波。特に、境港から松江、出雲と言った平野部では異常な積雪。場所によっては山間部以上に積もってます。宍道湖にもうっすら氷が張った他、お堀はご覧のとおり。
お堀にも氷が
氷をかき分け堀川遊覧船が行く・・・。

お松:で、雪が積もるとカメラを持って、庭駆け回るややさんです。
やや:犬か!

雪の小泉八雲旧居
 小泉八雲旧居もご覧のとおり。
 明治23年8月。旧制松江中学の英語教師として招かれた小泉八雲(当時はまだ、Lafcadio Hearn)は、最初は大橋川沿いの富田旅館(現大橋館付近)、次に宍道湖に面した折原家の隠居部屋(現皆美館付近)、そして、根岸家(現小泉八雲旧居)に住みます。この間わずか 1年3ヶ月。
 松江の町は大好きだったようですが、それでも松江に住めない理由は冬の寒さだったと伝えられています。
お松:犬みたいなややさんと違って、寒いのはきらいだった?
やや:明治の日本家屋です。しかも主な暖房は火鉢だったそうですから、そりゃ寒いわ。
 で、小泉八雲は、旧制松江中学(現島根県民会館の南側あたり?)の英語教師ですので、授業が終わると、城山周辺など散歩していたようです。小泉八雲の『知られぬ日本の面影』にも登場するお稲荷さん・・・城山稲荷神社は、八雲にとって、お気に入りの場所だったそうです。
雪に埋もれた城山稲荷神社

お松:・・・人跡未踏。八雲じゃなくてもムリ。
やや:隣に人が通れるよう雪を避けてあります。
・・・が、境内にはしっかり積雪。

雪に埋もれた狛狐

 八雲が愛した狛狐さんたちも雪に埋もれています。

磁器製の狐さんたち

 境内には、来待石製の狛狐さんや磁器製の小さな狐さんがそこら中に置かれています。この中のいくつかは、小泉八雲に出会った狐さんたちかも知れません。

小泉八雲の愛した狛狐さん


おまけ
雪の中の狛狐

だから、ホントーに雪に埋もれているんだってばぁ。
  1. 2018/02/09(金) 18:29:03|
  2. 小泉さんの散歩道
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雪とかあるけど華蔵寺に行ってみた

お松:こにゃにゃちは~!
 この冬、偏西風が大蛇行しているのだそうで、全国的に寒波襲来。この秋に大蛇行していたのは黒潮でしたっけ。そう言えば夏には台風も迷走してたし、なんだかいろいろ大蛇行している今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
やや:出雲地方はさほでもないですが、それでもやっぱり寒いですね。で、平地の雪はすっかり無くなりましたが、上の方はまだあるかなぁ?

華蔵寺の境内

 と言う訳で、行ってみたのはおなじみ枕木山華蔵寺です。
 道路は、除雪されており、通行に支障はありませんが、参道や境内は、道一本残して足跡もない・・・。

華蔵寺の本堂

 華蔵寺は456mの枕木山山頂近くにある古刹。現在は臨済宗のお寺ですが、中世以前は天台宗の山寺で、その始まりは平安時代に遡ると考えられています。なので、平安時代に遡る秘仏薬師如来座像を始め、多くの文化財を伝えています。

華蔵寺薬師堂の前

 中でも、参道の途中にある不動明王像は、県内最大の磨崖仏です。

磨崖仏不動明王

お松:華蔵寺は時々行っているようですね。以前は、眼下に見える大根島や弓ヶ浜、大山など、国引き神話の世界を見に行ってるのだろうなと思ってましたが、もしかして・・・?
やや:なに?
お松:本当は、この不動明王様がお気に入りなんですね。
やや:はい。このお顔がたまらん!
  1. 2018/02/03(土) 18:07:36|
  2. お松との会話
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その名はWolf!

 天気も良いので、ちょいとドライブです。一度行きたかった松江市八雲町平原の小さな神社へ。
宇留布神社の参道

 行きたかった理由は、別にややこしい歴史とか神話とかと言った理由は一切なく、ただ、その神社名が気になるから。
お松:気になる神社名ってなんでしょう?
やや:宇留布神社です。

宇留布神社拝殿の扁額

お松:Wolf?
やや:ウォォォォォォ~~~ン
お松:・・・。

宇留布神社の御本殿

やや:『出雲国風土記』意宇郡条には神祇官社として「宇流布社」と見えるだけで、特別な神話などは記されていません。『延喜式』神名帳にも「宇留布神社」と見えますが、もちろんそれ以上の記事はありません。
 また、江戸時代に記された『雲陽誌』では、「三島明神」とあり、「大山祇(オオヤマツミ)命をまつる、勧請年代しれず、本社は守留山(宇留山?)という高山にあり」と書かれています。宇留山は、現在の室山(260m)のこととされていますので、このことから三島明神が『延喜式』の宇留布神社だったと考えられています。
宇留布神社の狛犬

 現在の宇留布神社は大山祇命と木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)命が祀られています。コノハナサクヤヒメは、オオヤマツミ命の御子神で美しい女神様。美しくはない(美しさ以外の特別な意味を持つ)イワナガヒメと姉妹の神様とされています。

 さて、神社はその時々の人々の願いや諸事情により移転したり合祀されたりして、社地や神社名を替えることはよくあること。宇留布神社も明治期に三島大明神を始め三社が合祀され、その時から延喜式神名帳に見える宇留布神社となっています。なので、むしろ旧社地と伝えられる室山の方に興味津々なのですが、登山道もないそうなので・・・。

おまけ
こいつは春から縁起がいいねぇ

やや:大当たりです。大吉です!
お松:こいつぁ春から縁起がいいねぇ。
やや:午年だった年の事ですけれど・・・。
お松:あ・・・。
  1. 2018/01/21(日) 18:23:23|
  2. 神話の足跡探し
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天気も良いので

 山陰地方にもかかっていた寒波もようやく衰え、こたつで丸くなっていたお松さんも、やがて手が出る足が出る・・・。
お松:オタマジャクシですか?
やや:こたつの甲羅を背負った亀のイメージでした。
お松:真面目な顔してなにを言うか?
やや:真冬の好天って、凜とした空気感がホントーに気持ちよいですね。
お松:そういう訳でドライブに出かけた訳ですが、まったく目的も当てもなく・・・。
やや:なんとなく海とか見たくなって、車を駐めたのは御津の漁港です。
御津の漁港の海の中

お松:うわぁ~!海の底まで見えますね。
やや:この時期、澄んでいるのは空気だけではないですね。真冬の海の透明度は飛び込みたくなるぐらいです(←お松:よせ!)。
 733年に記された『出雲国風土記』は、郡毎に記されているのですが、島根半島の東側にあたる島根郡の記述では、南側の中海に面した部分から始まり、現在の大根島や江島を経て、美保関を回り、日本海岸の津々浦々を延々と記しています。
 『出雲国風土記』は山の記載はおおざっぱというか、大社弥山の時にそんな話をしましたが、でっかくまとめて記されていて、出雲郡には二つしか山がないかのような事になっています。それが、海岸地形については、一言コメントではありますが、ちょっとした浦や島について、一つ宛細かく記されています。この御津の海岸では、
 御津浜。広さは2百8歩。百姓の家(漁師の集落のこと?)あり
 三島。海藻がある
と、書かれています。
お松:三島というのは、この島こと?
御津沖にある小島

やや:ですね。他に目立つ島もないので、この島でしょう。海藻があるというのは、単に採れると言うことではなく、当時の税にもなっていますので、重要な事だったかもしれません。
お松:沖合にも大きな島が見えますよ。
蜃気楼に浮かんで隠岐が見える

やや:冬の好天は、空気が澄んで遠くがよく見えますねぇ。それにしても、普段よりも大きく見えるのは・・・蜃気楼のようですね。
お松:な、なんですと?
やや:空気中よりも海水温が高いので光が屈折して遠くの島が浮き上がって見えるでしょ。
お松:お~ホントだ!で、遠くの島って?
やや:知夫里島と西ノ島。右側は島後(どうご)ですね。
お松:ん?
やや:隠岐諸島です。
お松:お~!
  1. 2018/01/14(日) 18:07:39|
  2. お松との会話
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 神社仏閣と古い町並み、そして何より屋根とお庭が大好きな“やっぱり屋根が好き”と申しますが、相棒の“お松”に、あり得ないぐらい略されて、“やや”と呼ばれています。

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